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マーケティング全般

AISASをインターネット広告に活用する

1、AISASを活用する背景

株式会社電通の発表によると、日本のインターネット広告費は1兆5千億円(※4年連続で2ケタ成長)に達しており、マスコミ四媒体(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)と比較して大きな成長を遂げています。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2018/0222-009476.html
※電通 「2017年 日本の広告費」

広告主・代理店が広告を扱う場合には売上や顧客獲得数など最終成果につながったかどうかを確認します。当然インターネット広告も最終成果の確認が必要不可欠ではありますが、加えて、ユーザーに広告が表示されてからどのように商品・サービスを閲覧し、購入に至ったのか、中間指標を設定することで根拠を伴って施策の改善を行うことができます。

筆者はその中間指標の設定に、電通が提唱したAISASモデルをフレームワークとして活用しています。

この記事ではユーザーの態度変容をAISAS、すなわちAttention(注意)→Interest(興味)→Search(検索)→Action(購入行動)→Share(共有)ごとに分解し、どのような広告施策が考えられるのか筆者なりに整理したものをお伝えします。

2、主要なインターネット広告の種類

具体的なAISASの話に入る前に、そもそもインターネット広告とはどのような種類があるのか、が分からないことには理解しにくいかと思いますので、本項にて説明していきます(既にご存知の方は読み飛ばしてください)。純広告、リスティング広告、SNS広告、アフィリエイト広告、動画広告、メール広告…など、インターネット広告の種類をあげるとキリがありませんが、本項では大きな区分として純広告と運用型広告の2種類について紹介します。

純広告

純広告と運用型広告とをそれぞれ理解するには、課金形態の違いを切り口とするのがわかりやすいのではないでしょうか。純広告は事前にインターネット、Web上に存在する「広告枠」を予約し、「●●インプレッション(表示回数)で、●●円」という形式で広告を配信します。

画像中赤枠はYahoo!JAPANがトップページの中に広告枠を設けています。その広告枠の使用を希望する企業が事前に申し込みを行うことで、広告を配信することができます。

運用型広告

運用型広告とは、1クリック●●円という形で入札する広告のことを指しており、多くの場合そのクリック単価や広告自体の “品質“といった広告媒体各社が定める独自の基準によって順位が変動します。

つい先日(※2018年12月記事執筆)、任天堂の人気ゲームタイトル「大乱闘」シリーズの新作「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」が発売されましたが、「大乱闘」という語句でGoogle検索を行うと、一番上に「広告」という表記とともにAmazonの出稿している広告が見受けられます。

上記広告のことを「検索連動型広告」と呼び、代表的な運用型広告の一つです。
※ちなみに、右横に画像とともに表示されている広告は「PLA(Product Listing Ads:商品リスト)広告」と呼ばれ、こちらも運用型広告の一つとなっています。

運用型広告にはテキストだけでなく、バナー広告も使用することができます。

例えば、ニュースサイトを開いているとき、過去に閲覧したことがあるECサイトの商品の画像が並んだり、上記画像のような位置にそのECサイトの商品の画像が表示されたりしたことはないでしょうか。これはリターゲティング広告と呼ばれ、一度サイトを訪問したことがあるユーザーを“潜在顧客”とみなし、広告配信する仕組みです。

FacebookやInstagram、Twitter上で表示されるSNS広告も運用型広告の一つとされます。広告対象となっているユーザーからコメントがついたりシェアされたりするなど、インタラクティブである点が他の運用型広告と異なります。

3、AISASごとに分類したインターネット広告の計測方法

ECサイトを例として、前項で紹介した広告はAISASごとに分類すると、下図のようになるのではないでしょうか。※あくまで一例です。

横軸はユーザーのボリュームを、縦軸は商品への関心度を示しています。上図のような逆三角形は、漏斗(英語でFunnel)に見立て、マーケティング用語として “ファネル“と呼ばれます。ファネルの下層にいくほど商品への関心度が高い代わりに、ユーザーのボリュームとしては少なくなっていく、と理解されています。

Attention(認知)

ユーザーが何の情報を元に商品を初めて認知したのかをデータから判断するのは非常に難しい、と筆者は感じています。ユーザーが商品の情報を得る手段は、SNSや友人からの口コミ、オフライン広告など多岐に渡り、かならずしもデータ取得ができる、計測できるとは限りません。しかしそれでも、取得できる情報については最大限活用することで、ユーザーとの接点を確認し、ユーザーの購買行動を理解する必要があると筆者は感じています。

広告媒体は提供するレポート指標の中に費用、表示回数、クリック数を設けているため、視聴単価や流入単価を明らかにすることができます。一般的にサイトの流入が多いほど「認知された」とみなされるため、1流入あたりの単価を抑制することが「コストパフォーマンス良く認知を図ることができた」と評価されやすいのが現状です。しかし、アドフラウドのような問題や悪質なサイトによるユーザーの誤クリックなど、流入単価だけでは本当に認知を図ることができたのか評価する指標としては弱いと筆者は考えています。

解決策の一つとして、広告媒体が提供する指標だけでなくWebサイトから得られるデータを元に評価指標を定める、という方法があります。Webサイトを分析できるツールは数多く存在しますが、Web上のユーザーの行動分析をする上では無料で使用することのできるGoogle Analyticsが広く活用されています。
Google Analyticsは、広告流入してきたユーザーがどれだけのページを閲覧したのか、何分ほどそのページを閲覧していたのか、といったことを明らかにすることができます。

  • ページのスクロール率
  • ページの滞在時間

上図では、計測指標としてこの2点を置いています。
ページのスクロール率はページのどこまでスクロールしたのか、ページの滞在時間は何秒間そのページが閲覧されていたのか、を指しています。数秒スクロールするだけですぐに離脱してしまうユーザーや、何秒間もそのページを開いたまま動きのないユーザーも存在するため、「ページスクロール率80%」&「滞在時間30秒以上」は熟読した、とみなしてユーザーをマークすることもGoogle Analytics上で実装することが可能です(当社では“熟読率”と呼称しています)。対象のページから直帰(最初に到達したページからどのページへも遷移せず、離脱すること)してしまうユーザーであっても、しっかりページを読み込んでくれている場合もあります。その場合には熟読率を確認することで、認知されているかどうかを計測する必要があるのではないでしょうか。

Interest(興味)

ここでは興味の定義を「主体的に検索はしないまでも、商品について知っている状態」、もう少しWeb施策に落とし込んで解釈すると、「認知用の広告によってWebサイトへ訪れたことがある状態」とします。このフェーズに対応する広告として“リターゲティング広告”を上図で挙げています。

筆者がとある大手広告媒体社(G)が主催するセミナーに参加した際、ECサイトを例に、下記のようなデータを提示されました。


1回の訪問ではユーザーはモノを買わない

96%はコンバージョンせず、サイト離脱
70%は購入せず、カート内の商品を破棄するユーザー
49%は購入前に約2-4のサイトを訪問

※ECサイトでいう「コンバージョン」とは、「注文」を指す。

商材にも依りますが、筆者が運用する広告アカウントでも初回訪問でいきなり商品を購入するユーザーはそこまで多くないため、リターゲティング広告を使用することで再訪問を促すことで商品の購入への後押しを行っています。
※余談にはなりますが、Criteoという広告プラットフォームの会社はリターゲティング広告に強いレコメンドエンジン(ざっくりと表現すると、ユーザーに応じてEC商品を出し分ける仕組み)を搭載し、EC業界で独自の地位を築いています。
https://www.criteo.com/jp/

リターゲティング広告によってサイトへ訪れたユーザーがそのまま商品を注文してくれるのが理想ではありますが、注文につながらない場合はメルマガ登録、商品詳細ページの到達数などを中間指標に置いて広告の改善を行っていきます。

一昔前はフリークエンシー(1ユーザーあたりに表示された広告回数)を見て、1ユーザーあたりに過剰に広告が表示されていないか確認していたこともありますが、最近は広告媒体者が提供する自動化によってそのあたりも最適化されているケースが多いため、筆者は近頃あまり確認しなくなりました。

Search(検索)

昨今はGoogle、Yahoo検索に留まらず、FacebookやTwitter内で検索する動きも出てきています。SNSの存在は無視できないものとなっていますが、一旦ここではGoogleやYahooなどの従来の検索エンジンについて言及したいと思います。

検索といってもユーザーが使用する語句には様々な意味が含まれます。大枠としては下記に分類できるのではないでしょうか。

・インフォメーショナル(Informational:情報収集型)クエリ

その名の通り情報を集めるためのクエリ。何かを知りたい、疑問や悩みを解決するための情報を収集したいという意図がユーザーの心理に存在する。
(例)枕 首が痛い、twitter パスワード 忘れた など

・トランザクショナル(Transactional:取引型)クエリ

ユーザーが何かに対してアクションを起こしたいと考えて検索するクエリ。「何かを購入したい」という意図のあるクエリは典型的な取引型クエリとなる。
(例)ベッド 通販、youtube 実況動画 など

ナビゲーショナル(Navigational:案内型)クエリ

特定のサイト、ウェブページを見つけるためのクエリ。任意のWebサイト、任意のページにアクセスしたい意図がユーザーの頭に存在する。
(例)Amazon 、楽天、ドコモ ログイン など

これらを踏まえた上で、下記の例をご覧ください。

「ドコモ 法人携帯」と検索した際、NTTドコモ公式の広告が最も上に表示されていることがわかります。「ドコモ」というクエリはNTTドコモ社から見て「指名」されていると捉えることができるため、ここでは「指名クエリ」と呼称します。

この「指名クエリ」なるものは、下に続く競合他社のWebサイトにシェアを奪われないようにするために出稿されるケースが多くあります。この「指名クエリ」は他のクエリと比較して1注文を獲得する単価が低いことが多いため、広告のコストパフォーマンスを気にする企業がこの「指名クエリ」のみに注力していくケースもあります。

しかし指名クエリに注力するあまり、ユーザーの認知や関心という段階を無視してしまい、結果として「指名クエリ」の検索ボリュームが低下していった、というケースが存在します。

これはGoogleトレンド(https://trends.google.co.jp/trends/)を使用し、筆者が広告運用を担当したことのあるブランド名の過去5年間の検索ボリュームの変動を示したものです。2013年をピークとして、次第に検索ボリュームが減少していることが図から分かります。このブランドは過去指名クエリでの広告配信に注力をしていましたが、検索ボリュームの低下を問題視し、今後は認知や興味といった検索前のフェーズに重点を置き、あらためて計測指標を設定し直しています。

Googleもまたこの点を問題視しており、対応策として “アトリビューション”という考え方を広めています。詳細は別記事(https://www.principle-c.com/column/ppc/adwords-attribution/)を参考にしていただけると幸いです。中間指標の設定としては、このアトリビューションを踏まえた上で、「注文数」を確認していくのが良いのではないかと筆者は考えています。

Action(購入行動)

ユーザーに一度商品を購入してもらえたら、次に考えるべきはアップセルかクロスセルとなるのではないでしょうか。商品を注文したユーザーへ商品を届ける荷物の中に試供品や割引券などを同封するといった伝統的な手法から、顧客へのメールを出し分けるために、ここ数年で発達してきたMAツールを使用する、といった手法まで様々なアップセル・クロスセルの方法が存在します。

広告という観点で考えると、リターゲティング広告が使える場合もあります。毎日1つずつ消費する商品を30日分購入していた場合、商品がちょうど使い切られるタイミング(=商品購入から30日後)に広告を出稿する、といったこともリターゲティング広告で設定することができます。

Share(共有)

商品を購入したユーザーの中から、いわゆる“ファン”といえるほど商品を愛してくれるユーザーが出てくることもあります。そのユーザーはFacebookやInstagram、TwitterなどのSNS上でシェアをしてくれるため、他のユーザーへの認知へとつながることがあります。

広告に頼らず、ユーザーが自然とSNSにてシェアしてくれるのが理想ではありますが、必ずしも狙った通りにシェアが増えるわけではないため、その補助としてSNS広告を配信することが有効な手立ての一つとなることもあります。

筆者がSNS広告を出稿した際、おそらく商品を購入したと思われるユーザーからその広告に対してコメントをもらったことがありました。ポジティブなフィードバックもあれば、商品のクレームなどのネガティブなものも存在するため、SNS広告を運用する際には真摯な対応を心がけたいものです。

ちなみに、Facebook広告には関連度スコアという概念が存在します。この関連度スコアが高いほど、広告を出稿するために必要な金額を抑えることができるため、広告運用者は関連度スコアを常に意識しながら運用にあたっています。

4、おわりに

AISASから分解するインターネット広告、今回ご紹介したのはあくまで一例であり、商材の特性やビジネスモデルによって広告施策や計測指標は変動します。DUAL AISASといった新たなモデルも出てきており、筆者としてもより活用しやすいモデルがあれば、また同じように広告施策へと落とし込んでいきたいと考えています。

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