近頃、アメリカで広告のクリック単価(CPC)が上昇しています。そのため「広告のCPCを下げる方法を知りたい」「できれば海外向けの情報が欲しい」と考えている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、広告のクリック単価の近況の解説と、CPCを下げる3つの施策の紹介をします。
広告運用の効率化にぜひお役立て下さい。

クリック単価(CPC)上昇の状況

冒頭で紹介したとおり、アメリカで広告のクリック単価は上昇傾向にあります。その理由は、チャネル間の競争が激化しているためです。コロナ禍でトラフィックは減った反面、広告費は増大しています。

事実、2021年第3四半期の検索広告のCPCは、前年同期比で41%上昇しました。Googleの検索連動型広告のトラフィックが10%減少したにもかかわらず、広告費は前年同期比で28%増加していることが大きな要因です。

オンライン小売業者間での激しい競争もあって、少ないトラフィックに対してより多くの広告予算を費やしているのです。

その他の特徴として、小売製品カテゴリー全体でCPCが上昇したことが分かっています。上昇率が最も高かったのは「美容」で、前年同期比41%、次に高かったのは「家庭・園芸」と「ペット用品」で、それぞれ2020年第3四半期比33%、27%となっています。

それでは、CPC増大に対して、われわれはどのように対策すればよいのでしょうか?

以下では、施策の例を3つご紹介します。

広告CPCを下げる施策① ロングテールキーワードの使用

ロングテールキーワードは、幅広いキーワードや短いキーワードに比べて、はるかに安い価格になります。なぜなら、ロングテールキーワードはビッグキーワードに比べて検索数が少なく、入札の際の競争率が低いためです。

ここで言う「ロングテールキーワード」とは、一般的に4つ以上の単語で構成されるフレーズのことです。簡単な例として「website builder」をロングテールキーワードで表すと「best website builder for real estate agents」になります。

ロングテールキーワードにはCPCを下げる以外にも、以下の特徴があります。

  • ウェブサイトへの訪問者数は少なくなるが、より多くの認知度を得ることができる。
  • ロングテールキーワードの検索意図はより具体的であるため、コンバージョン率(CVR)も高まる。

ビッグキーワードでのマーケティング施策は競合とのマネーゲームになりがちです。CPCを下げたい場合には、ロングテールキーワードで攻めることを検討すべきでしょう。

広告CPCを下げる施策② 除外キーワードの使用

除外キーワード(広告を表示させたくないフレーズ)を設定すれば、CPCを下げることができます。不要な広告表示を減らすことで、関連性の高いユーザーに的を絞って広告を表示できるためです。

除外キーワードを設定すると、特定の検索語句を広告の表示対象から除外して、お客様の商品やサービスに関連する重要なキーワードを検索したユーザーのみに広告を表示することができます。ターゲットを絞り込むことで、関心のあるユーザーに広告が表示されるようになり、費用対効果(ROI)を向上させることができます。

除外キーワードについて – Google 広告 ヘルプより引用

例えば、「Luxury Leather Wallet」に入札しているとします。この場合、広告は「”Cheap” Luxury Leather Wallet」という、本来目的としていないキーワードでも入稿されてしまいます。これでは、ブランドの価格帯によっては、クリックの無駄になってしまいます。

このような不要な広告を減らすために除外キーワードを設定すれば、CPCを低減することができます。

補足

  • 除外キーワードのリストを作成して使い回せば、キーワードの追加の工数を削減できる。
  • 除外キーワードの設定はGoogle Shoppingでも効果大。商品フィードの最適化と同時に進めるべき。

広告CPCを下げる施策③ 広告の関連性(Relevancy)を高める

広告の関連性(Relevancy)を高めるとCPCを下げることができます。というのも広告の関連性は、GoogleがCPCを決定する際の指標の1つになっているためです。

オークション時点の広告の品質(推定クリック率、広告の関連性、ランディング ページの利便性など)、上限クリック単価、広告ランクの下限値、オークションにおける競争力、ユーザーが検索に至った背景(コンテキスト)、広告表示オプションやその他の広告フォーマットによる効果の予測をもとに、広告ランクが決定されます。

(中略)各広告主の広告ランクは、広告が掲載される場所のほか、広告とともに表示される広告表示オプションやその他の広告フォーマットを決めるために使用されます(また、広告や広告フォーマットが表示されるかどうかという基本的な問題も広告ランクで決定されます)。

実際のクリック単価(CPC) – Google 広告 ヘルプ より引用

また、広告の関連性はコンバージョン率にも影響します。関連性のないキーワードで集客してトラフィックが増えたとしても、直帰率が大幅に上がり、費用対効果が低くなってしまいます。

広告の関連性を高めるためには、広告のヘッドラインと説明文に目標キーワードを入れることが重要です。これにより、ランディングページのキーワードとの関連性が最も高くなるようになります。

CPCを下げる手法は日米で大きな違いはないが…

ここまで読んでお気づきかと思いますが、CPCを下げる施策はアメリカと日本では大きな違いはありません。

日米での大きな違いは、それぞれの消費者の考え方・動向・趣味嗜好です。つまり、現地ユーザーに合わせて広告(クリエイティブ、メッセージ、コピー、ランディングページ)をデザインすることが重要であり、これがGoogle広告のQuality Scoreや広告の関連性に深く影響するのです。

アメリカ国民は多様なため、エリアによって属性はかなり異なる(特に、年齢、人種、所得、DMA観点、言語、宗教)。そのため、扱うサービスのターゲットによって言語、興味、地理的な差を考慮すべき(例えば、アジア人を狙ったサービスと、ヒスパニックをターゲットにしたサービスとでは、広告の設定が大きく変わる)

米国マーケティングで知っておくべき地域差とターゲティング戦略 | 株式会社プリンシプル より

アメリカ現地のトレンドについては、過去記事「Vlog – 2021年米国のEC市場のトレンド」で解説しています。こちらも併せてご活用下さい。

まとめ

  • 広告のクリック単価が上昇している。特にアメリカではGoogleの検索連動型広告の価格が上昇している。
  • CPCを下げる施策のポイントは「ロングテールキーワード」「除外キーワード」「広告の関連性」。
  • CPCを下げる施策はアメリカと日本では大きな違いはないが、現地ユーザーに合わせて広告をデザインすることが重要。

プリンシプルはアメリカにもオフィスを持っており、より現地のトレンドに沿った、充実したコンサルティングが可能です。米国でのデジタルマーケティングや広告でお困りの方は、ぜひPrincipleにお問い合わせください。

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Kris Irizawa

Logitechなどのシリコンバレー・スタートアップ企業で9年間マーケティング解析を経験。プリンシプルアメリカの解析ディレクターとしてLA在住。

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