「平均」は、ばらつきのあるデータを一つの値で代表する機能があり、「中央値」や「最頻値」などとと並ぶ代表値の一つです。我々ビジネスマンも、商品Aの平均利益率と商品Bの平均利益率を比較してどちらの商品の方が収益性が高いのか?を比較するというようなことは一般的に行います。本ブログ記事では最も有名な代表値である「平均値」をTableauで表現する時に必要となるすべての情報を網羅して紹介します。

この記事を書くに至った前提は、以下のようなものです。

「合計」はTableauでよく使われる集計方法であり、また、非常に安定していて、誰が、どのような方法で取り出しても、誤り無く取り出しやすい値です。一方、「平均」はデータ構造とやり方によって正しい、意図した値を取り出せたり、取り出せなかったりします。また、正しい値を取り出せたと思っていても、実はそうではなく、意図しない値、間違った値を取り出してしまうことがあります。

そこで、一度、きちんと「平均」をしっかりと整理することが必要と考えるようになりました。

今回も、Small Data Verification(小さなデータによる計算式の検証)という方法を使います。データは、SIerと呼ばれるシステム開発業者が、A社、B社に3種類のサービスを販売した際の売上、及び、利益データを想定しています。レコード数はわずかに15行。かなり小さい、単純なデータと言えるでしょう。



取引先ごとの売上の平均 – ピルのメジャーの利用

「取引先」列にはA社、B社の2つのディメンションメンバーがありますので、どちらの取引先から効率的に売上を実現できているのかを比較するために、取引先ごとの売上の平均を求めてみましょう。

まず最初は、デフォルトでは「合計(売上(万円))」となっているピルの計算方法(メジャー)を合計から平均に変える方法です。操作については以下の画像を参照してください。

A社が198万円、B社が288万円となりました。さて、これは何の平均をしているのでしょうか?答えは以下の画像で分かります。合計の売上をA社、B社それぞれの「レコード数」で割っています。

レコード数で割ったことにより、A社に属する売上の小さいレコード(1月のコンサルやトレーニング)の影響でA社の平均がより低く出てしまっています。こうしたレコード数で割って求める平均は日常業務ではあまり使いませんし、データの構成に非常に大きく影響を受けるので注意が必要です。

取引先ごとの売上の平均 – 売上を月数で割る

より業務で使う「平均」は「取引先ごとの月次の売上の平均」でしょう。ですので、そのやり方を学びます。売上の「合計」はすでに存在するので、取引先ごとの「月数」を計算式で求め、売上の合計を、「月数」で割りましょう。

以下の動画でやり方を紹介します。

月数として、A社は8ヶ月、B社は3ヶ月に渡り売上が発生していますので、COUNTD([年月])の計算式で「月数」として取得し、分母にすることで正しい月次平均売上を取り出すことが出来ました。

取引先ごとの売上の平均 – 売上を取引開始からの経過月数で割る

先程の例では、A社の平均月次売上が273万円、B社が383万円です。B社との取引の方が効率よく売上をあげているようにも見えます。

一方、こんな考え方はできないでしょうか?取引先のA社は1月に取引が始まったので取引開始から8ヶ月経過している。B社はA社に遅れること2ヶ月、3月に取引が始まっているので8月までで6ヶ月経過している。そうした取引の長さを「取引継続月数」として取り出し、それを分母として利用して月次売上の平均を取り出した方がより適切に「売上の効率性」を判断できる。

そのロジックに従ったVizの作成は以下の操作で実現できます。

A社が273万円、B社が192万円となりました。「どちらの取引先が効率よく売上を計上できているか?」がビジネス上の問いであった場合には、こちらの方が状況を的確に現すVizと言えるでしょう。

まとめ

如何でしたでしょうか?

ピルのメジャーによる「平均」は安易に使わない方が良いこと。「平均を求める際の分母」が大事なので、ビジネス上のどのような問いに対する代表値として、どのような分母を使って平均を計算させるのかが重要なこと、Tableauの計算式は、そうした柔軟性を持っていること、などを学んでいただけたのではないかと思います。

Tableauにおける「平均」のすべて(その2)」では移動平均についてお話を進めていきましょう。

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木田和廣

早稲田大学政治経済学部卒。取締役副社長。カスタマーサクセス室室長。チーフ・エバンジェリスト。

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公開日:2023年03月

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