2026年2月3日に「「貢献が見えない」を解消する 非収益型サイトのためのGA4目標設定と価値可視化のフレームワーク」というテーマでウェビナーを開催しました。ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました!

本ウェビナーでは、コーポレートサイトやオウンドメディアなどの収益を直接生まないサイトが「ビジネスにどう貢献しているか」を可視化する実践的な知見について解説しました。この記事ではウェビナーの内容から、数値で成果を証明するためのKPI設計術をまとめてご紹介します。

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1. 非収益型サイトの定義と役割

非収益型サイトとは

直接的な収益ではなく、事業活動の中長期的支援を目的とするサイトです。

サイト種別の例として、以下のようなものがあります。

  • コーポレートサイト
  • 製品/サービス紹介サイト
  • オウンドメディア
  • カスタマーサポート(既存顧客向けのFAQ、問い合わせ窓口)

非収益型サイトの役割

非収益型サイトは、正確な情報提供や分かりやすいUI、好印象を残すUXが求められる、企業の「顔」となる存在です。

これらのサイトには、以下のような役割があります。

  • 情報公開・告知
    企業として情報を公開、新たな変動があった時の告知
  • 認知獲得
    製品を知ってもらうことで認知を得る
  • 顧客ロイヤリティ向上
    自社や製品・サービスへの好感度向上
  • 疑問、つまづき解消
    課題解決により顧客の離反防止

2. ビジネスへの貢献を可視化するKPI

KPIとは

KPIとは、企業の目標達成に向けた貢献度を測る指標のことです。企業は収益を獲得し続ける必要がありますが、非収益型サイトは直接的には収益を生みません。「収益」というわかりやすい指標ではサイトの価値を評価しにくいですが、サイトの目的に応じたKPIを設定することで貢献度を可視化できます。

KPIがもたらす効果

―KPIがないとき

よくある状況 招いてしまう課題
施策の効果がわからない 運用の形骸化(ユーザー数やPV数の増減を形式的に報告)
ネクストアクションの優先順位が不明(今なにがネック?どれから手を付ける?)
成果・貢献が伝わらない 投資判断が困難(人員強化、リニューアルや機能改修の予算が下りない)
担当者の実績が曖昧 キャリアの損失(人事評価が無難なものになりがち。モチベーション低下から人材流出も)

上記のように、KPIがないとユーザー数やPV数などのボリュームしか報告できず、また施策が効果的なのか判断しづらく、ネクストアクションを起こしにくくなります。

―KPIがあるとき

一方で、KPIがあると以下のような効果が期待できます。

うまれる状況 得られる効果
施策の効果が明確 「これをしたから、こうよくなった/悪くなった」の白黒がつき、「続ける/止める/変える」の意思決定がスムーズ
成果・貢献が伝わる 「コンテンツA群強化で、昨年はKPIが20%UP。今年も継続投資すべき」と明確な理由をもって予算どりに動ける
担当者の実績を正当評価 誰の取り組みがどれだけの成果を生み出したか、人事評価の基準も明確に

明確な数値があることで判断がしやすくなり、ネクストアクションへと歩みを進められます。

3. KPI設計の4ステップとフレームワーク

KPI設計をWEBマーケティングの観点から考えるときには、サイト内行動やユーザー行動の”質”を定義し数値化します。そのために、まず現状を知り、整理するところから行っていきます。

以下ではKPI設計の4STEPに分け、各ステップにおけるポイントを説明します。

STEP1 概況調査

―①ヒアリングとディスカッション

まず、企業のビジネスモデルや事前情報をもとにヒアリングを行います。目的は、サイトの強み・弱み、求められる役割の洗い出しです。その際、クリアになっていない部分はディスカッションを重ねます。

一見数値に直結しないようにも思えますが、核になる部分なので深く深く、関係者の合意形成も丁寧に進めることが大切です。

以下はヒアリング項目の例です。

  • ウェブサイトの長期・短期目標
  • 自社の強み・弱み
  • 競合するサービスや商品
  • 今後獲得したい新規顧客像
  • 主要顧客の年齢や性別、特性(職業、家族構成、趣味嗜好等)
  • 顧客が貴社商品を知る主なきっかけや決め手
  • 失注した際のボトルネック
  • 顧客が他社を選ぶときの推定される決め手

―②現状のGA4データ分析

下記のような一般的な数値を、短期/中長期で検証します。その際、ヒアリング内容と実際の数値にギャップがあれば、原因を確認をしながら疑問解消していきます。

  • アクセス数:どれくらいサイトに人が集まってるのか
  • 集客チャネル:自然検索が多いのか広告で多くの人を集めているのか
  • エンゲージメント率:サイトを見てもらえているのか、すぐにサイトから抜けているのか

サイト内の主力コンテンツ(製品・サービス紹介サイトなど)は、より重点的に、様々な指標(滞在時間、閲覧開始数、表示回数、離脱数、スクロール率など)から分析します。ユーザーディメンション(新規/リピーター、集客チャネル、セグメンテーション)を掛け合わせ、だれが・どこで・何をしているかを調査していきます。

STEP2 ターゲットユーザー・カスタマージャーニー可視化

以下のような手順でカスタマージャーニーを整理します。

  1. サイトおよび企業の現状把握
  2. サイトの目標・役割の明確化
  3. 目標・役割に近づくための提案とディスカッション、情報の整理(ユーザーがどんな行動をとればサイトの目標に近づくのか、そのためのボトルネックは何なのかを検討)
  4. ユーザーにとってほしい行動を決め、数値化する定義を検討

ヒアリングをもとに、ターゲットのユーザー像や最終的なサイトの役割を検討し、数値面で裏付けします。理想や認識と数字(実態)の間にギャップがあれば、理想と現状の距離感などを検討します。

そうした中でサイトが進むべき方向性を検討し、下記のような「ユーザーの動き」のモデルケースを作成します。

サイト内導線整理の例

STEP3 KPI設計 

ここまでのディスカッション・調査・情報整理の結果をうけて、どのようにKPIを設定したか、3件の事例をご紹介します。

―事例①:オウンドメディアサイト

媒体価値の再定義:「ファン数」計測による読者品質の可視化

  • サイト種別:
    オウンドメディアサイト(多種多様な記事を掲載するマガジンスタイル)
  • 収益源:
    広告記事掲載
  • プロジェクト開始前のKPI:
    ページビュー数
  • 課題感:
    広告PVが重要なのは既知だが、中長期的に何をすべきか

上記のようなご相談をいただいた際の流れを紹介していきます。

1. 概況調査で見出された重要ポイント

  • 広告主はサイト特有の読者層へのアプローチをしたい
    →アクセス数を稼げれば誰でもよいのでなく、このサイトにマッチする方に見てほしい
  • 自然検索流入による新規セッションと、訪問回数を重ねたリピーターが見るコンテンツのカテゴリにギャップがある
    →リピーターの方がこのサイトでしか得られないページを見ていたのに対し、新規の方は情報だけを提供する記事にアクセスが集中している

2. 期待するユーザーの行動変容

  • 主力コンテンツに興味がある人にリピーター化してほしい
  • その一環で広告記事も見てほしい

3. 新たに追うKPI

  • 一定期間内にリピートする人や主力コンテンツを複数見ているなどの条件にマッチしたユーザー=”ファン”と定義
  • 新規ユーザーも重視すると同時に、ファンも増やし継続的に条件をクリアし続けてほしい
  • ファン候補の”新規ユーザー数”とファンの条件を達成した”ファンユーザー数”を具体的な数値を用いて目標設定する

”新規ユーザー数”はGAで計測でき、”ファンユーザー数”はGA4「オーディエンス」で計測ができます。

―事例②:カスタマーサポート・FAQサイト

コスト削減の実証:自己解決率の計測、問い合わせ抑制効果の証明

  • サイト種別:
    ユーザーサポートサイト
  • 収益源:
    オンラインサービス
  • プロジェクト開始前のKPI:
    ユーザー数
  • 課題感:
    「よくある質問」や問い合わせフォームを掲載。多くアクセスされることだけが良い事なのか

続いては、上記のようなご相談からの流れを紹介していきます。

1. 概況調査で見出された重要ポイント

  • このサイトの役割はユーザーのつまづき解消
  • 問い合わせの対応にコストが生じている

2. 期待するユーザーの行動変容

  • 「よくある質問」で疑問をユーザー自身で早期解決できる

3. 新たに追うKPI

  • 「よくある質問」の最後に「解決した/していない」ボタンを設置し、クリックイベント数を取得
  • 【「解決した」クリック率】の向上、サービス利用者数に対する【問い合わせ発生率】の減少を数値化し目標設定する

―事例③:メーカー製品情報サイト(BtoB)

営業貢献の定量化:資料DLの積み重ねによる商談価値の算出

  • サイト種別:
    工業製品メーカー公式サイト
  • 収益源:
    エンドユーザー企業製品への採用(購入)
  • プロジェクト開始前のKPI:
    資料ダウンロード数
  • 課題感:
    販売経路は代理店。Webサイトの直接的な売上貢献は見えない

続いては、上記のようなご相談からの流れをご紹介します。

1. 概況調査で見出された重要ポイント

  • 製品カテゴリ、および検討フェーズごとにユーザが必要とするデータは異なる

2. 期待するユーザーの行動変容

  • ライトな検討段階から、本格的な採用検討に移行してほしい

3. 新たに追うKPI

  • 資料DLイベントをする際、カテゴリ×種類別にvalue(値)を出力する。単純なダウンロードイベント数ではなく、「ダウンロードイベント価値」の向上を数値化し目標設定する

STEP4 レポーティング設計例

STEP3のような流れで各企業のミッションと目標とする数値を定めていきました。これらの数値は、数字の性質(ボリューム、変動スパン等)をもとに、中長期的に月単位や四半期などタイミングをきめて計測します。

実際には、下記のような形で整理し、サイト担当者様がすぐ着手できるようにしています。

頻度 分析メニュー 目的 ディメンション 指標
四半期ごと 会員・購入者の
導線分析
会員属性(業種など)別に初回獲得時期、獲得チャネル、閲覧ページなどの購入導線を明らかにすることで、現状の把握、今後の課題を洗い出す。 会員ID ※会員データとの紐づけに使用
・参照元(初回・ラストクリック)
・メディア(初回・ラストクリック)
・キャンペーン(初回・ラストクリック)
・ランディングページ
・ユーザー数
・セッション数
会員登録数
カート追加数
・PV数
・CV数
四半期ごと サイト内検索
行動分析
サイト内検索行動から、ユーザーの求めている情報を可視化し、コンテンツSEO、サイト導線の最適化などの施策にフィードバックする。 検索キーワード
検索ボタンの名称(シーン別、地域別など)
・検索回数
・クリック数
毎月 流入分析 初回のユーザー獲得チャネル、購入時の流入チャネルの両軸で集客施策を評価することで、初回セッションでCVしづらい認知施策を含めて、収益への貢献度を評価する。 ・参照元(初回・ラストクリック)
・メディア(初回・ラストクリック)
・キャンペーン(初回・ラストクリック)
・ランディングページ
・ユーザー数
・CV数
LTV
毎月 LP分析 LPのコンテンツ(特集記事、広告LPなど)の閲覧がユーザーのCVやLTVに貢献しているか分析する。 ・ランディングページ ・ユーザー数
・CV数
LTV

4. KPIが設定された、その先へ

KPIが設定されると、以下のような効果があります。

  • 施策の効果が明確になる:「これをしたから、こうよくなった/悪くなった」の白黒が付き、「続ける/止める/変える」の意思決定がスムーズになります
  • 成果・貢献が伝わる:「コンテンツA群強化で、昨年はKPIが〇%UPした。今年も継続を」を明確な理由をもって予算取りに動けるようになります。
  • 担当者の実績を正当評価:誰の取り組みがどれだけの成果を生み出したか、人事評価の基準が明確になります。

これらに加え、以下のように、次にとるべき行動が明確になったケースもありました。

  • GA4機能「オーディエンス」で条件をクリアしたユーザーに対し広告アプローチでき、優良顧客に見てもらいたいコンテンツへ誘導。
  • AIの影響によりサイトへの流入数が大幅減。一方KPIは微減にとどまり、コアユーザーの離反は起きていないと分析ができ、新規獲得に注力。
  • ユーザーサポートサイトで、「CVユーザー」「非CVユーザー」を分けて分析。非CVユーザーのサイト内検索ワードから、不足しているQ&Aコンテンツを発見。

5. まとめ

この記事では、ウェビナー「「貢献が見えない」を解消する 非収益型サイトのためのGA4目標設定と価値可視化のフレームワーク」の内容をもとに、非収益型サイトの価値をGA4で正しく評価するためのフレームワークについて解説しました。

  • KPI設計の具体化:
    曖昧だったサイトの役割を数値化し、ビジネスへの貢献度を明確にします。
  • 運用サイクルの確立:
    適切なレポーティングにより、迷いのない施策改善と意思決定を可能にします。

今回のセミナーの内容についてより詳しく知りたい方は、下記リンクより資料のダウンロードをお願いします。

◼︎こんな方におすすめ

  • オウンドメディアやBtoBサイトの成果を、社内にどう報告すべきか悩んでいる担当者様
  • GA4を導入したものの、どの数値を追えば事業成長に繋がるのか分からない方
  • Webサイトの予算確保や、施策の優先順位付けのための客観的な根拠が欲しい方

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