「SNS広告」という言葉を耳にする機会が増え、「自社でも試してみるべきかな?」と漠然と考えている方も多いのではないでしょうか。しかし、いざ始めるとなると「結局、どんなときに使えば効果的なの?」「何から始めたらいいか分からない」といった疑問が次々と湧いてくるはずです。
この記事では、そんなSNS広告の初心者の方に向けて、SNS広告を最大限に活用すべきタイミングを、具体的な目的別に整理して解説します。さらに、それぞれの目的に応じた成功事例もご紹介するので、「自社で今すぐSNS広告を始めるべきか?」が明確になります。
SNS広告の役割と特徴
SNS広告とは?どんな時に力を発揮する?
SNS広告運用の最大のポイントは、性別、年齢、居住地といった基本的な情報はもちろん、興味関心、過去の行動履歴など、詳細なデータを活用して特定のユーザー層に絞って広告を表示できる点です。
これにより、「20代女性で美容に関心が高い人」や「最近、旅行関連の情報を調べている人」など、自社のサービスや商品に興味を持つ可能性の高いユーザーにピンポイントでアプローチできます。
広告媒体ごとの特性
SNS広告にはさまざまな媒体があり、それぞれに特性があります。
- Instagram:写真や動画がメインのビジュアル重視のプラットフォームです。アパレル、コスメ、旅行など、視覚に訴えかける商品やサービスとの相性が抜群です。
- X (旧Twitter):リアルタイム性が高く、トレンドや速報性が重要な情報、ユーザーの共感を呼ぶようなコンテンツが拡散されやすいのが特徴です。
- TikTok:10代から20代前半の若年層に強く、短い動画でエンタメ性の高いコンテンツが好まれます。新しいトレンドや、ユーモアを交えた商品紹介に向いています。
SNS広告を配信する際に重要な3つのポイント
SNS広告にはさまざまな形があり、ユーザーの目的やタッチポイントも変わってきます。そのため同じような媒体選定・運用では成果は最大化できません。以下の3つのポイントを意識してみましょう。
- 自社の状況を把握する
- ペルソナを考えてみる
- SNSの特徴を踏まえて媒体選定(どのように売る?)
①自社の状況を把握する
まずは「SNS広告をなぜ使うのか」を明確にします。(認知を広げたいのか、新商品やキャンペーンを告知したいのか、すでに関心を持っているユーザーを購買へ後押ししたいのかなど。)
目的があいまいなまま出稿するとKPIが定まらず、「結局何を目指したのか分からない施策」になってしまいます。
②ペルソナを考えてみる
次に重要なのは「誰に届けたいのか」をイメージすることです。
- 年齢・性別・居住地といった基本属性
- 興味関心やライフスタイル
- 購買に至るまでの課題や心理状態
たとえば「20代女性の新生活層に家電を訴求したい」のか、「子育て世代に安全性を重視した商品を紹介したい」のかで、メッセージやクリエイティブの方向性が大きく変わります。
③SNSの特徴を踏まえて媒体選定(どのように売る?)
最後に①と②を考慮して、目的とターゲットに合った媒体を選びましょう。
- Instagram:ビジュアル重視で美容・ファッション系と相性◎
- X(旧Twitter):リアルタイム性が高く、話題化や情報拡散に強い
- Facebook:比較的年齢層が高め、詳細なターゲティングが可能
- TikTok:動画中心でUGC風コンテンツが刺さりやすい
媒体ごとに「得意な表現」や「利用しているユーザー層」が違うため、ペルソナと目的に合わせて組み合わせることが成功の鍵です。
例:セール告知をしたいときのSNS広告活用
それでは紹介した3つのポイントを押さえて、よくあるシチュエーションである「セール告知をしたいとき」を元にSNS広告の活用方法を考えてみましょう。
ー① 自社の状況を整理する
今回のケースは、20〜30代女性向けのファッションを扱うアパレルECサイトです。
課題は「セール期間中にトラフィックを最大化し、できるだけ多くの顧客にキャンペーン情報を届けたい」というもの。特に既存顧客だけでなく、まだブランドを知らない新規層にも幅広く認知させる必要がありました。
ー② ペルソナを考える
次に、想定される顧客像を描いてみます。
- プロフィール:29歳、都内在住、マーケティング会社勤務
- 趣味・関心:ファッション、カフェ巡り、旅行
- 悩み・課題:仕事とプライベートの両方で着回せる、コスパの良いおしゃれアイテムを探している
- 情報収集行動:InstagramやTikTokで最新のトレンドや着回しアイデアを日常的にチェック
- 購買行動:SNSで気になった商品をオンラインストアでレビュー確認後に購入
このように具体的な人物像を描くことで、「どんな情報が刺さるのか」「どんな表現なら興味を持ってもらえるのか」が見えてきます。
ー③ 1・2に沿って媒体選定を行う
目的(セール告知・集客最大化)とペルソナ(SNSでトレンドを追いかける20〜30代女性)を踏まえ、選ばれたのは以下の媒体です。
- Instagram広告(カルーセル形式):
複数のアイテムを一度に見せることで「比較して選びたい」という心理を刺激し、クリック導線を増加。 - TikTok広告(UGC風動画):
実際のユーザーが着用しているような動画で、リアルな体験を伝える。広告感を抑えつつ共感を得やすい。 - ブロード配信:
既存顧客だけでなく潜在層にもアプローチし、将来の顧客基盤を広げる。
結果的に、「セールを知らなかった新規顧客にも認知を広げつつ、既存顧客の購買意欲も高める」という両輪のアプローチが可能になりました。
シチュエーション別 成果事例紹介
最後に、弊社が実際に支援した事例をご紹介します。
【事例紹介①】アウトドア・スノースポーツウェアの認知拡大施策で市場シェアを拡大
アウトドアやスノースポーツ向けアパレルを展開するECは、ブランド認知において競合他社に劣っている状況にありました。そこで、主力であったリスティング広告の指名検索に加え、認知施策を強化し、市場シェアの拡大を目指しました。
課題
- ブランドの指名検索数が伸び悩んでいた
- 主な広告施策が検索連動型広告に偏っており、新規層へのリーチが限定的
- 競合に比べて認知フェーズでの露出不足
実施施策
本施策では、Google/Yahooでのリスティング広告に加え、YouTube・Facebook・Instagramでの動画配信と静止画配信を実施しました。
- 静止画広告では製品訴求を中心に構成
- 動画広告ではブランドコンセプトやシーズンアイテムを紹介するコンテンツを配信
- ターゲティング配信とブロード配信の両方を組み合わせ、新規ユーザーへの接触機会を最大化
成果
配信期間中、SNS投稿のリアクション数が大幅に増加するとともに、ブランドの指名検索表示回数も増加しました。これらの指標の上昇は売上の伸びにもつながり、認知施策の有効性が明確に示されました。
成功の背景
特にブロード配信が「投稿のリアクション」増加に大きく貢献しました。ルックアライクや興味関心ターゲティングによる配信よりも、潜在的にブランドに接触していない層へ幅広くリーチできたことが、結果として指名検索の増加につながったと考えられます。
【事例紹介②】大学生就活支援サイトで回遊率を向上、PV数・CV数を改善
大学生の就職活動支援を行うあるサイトでは、就活を控える1・2年生をターゲットに、サイト内の回遊率(セッションあたりのPV数)を向上させる取り組みを実施しました。
課題
- サイト訪問後のページ閲覧数が伸び悩んでいた
- 就活関連情報を求める学生はいるものの、記事やオンラインセミナーのコンテンツを十分に閲覧してもらえていなかった
- これまではTOPページ送客が中心で、ユーザーが複数コンテンツを回遊する導線が弱かった
実施施策
2023年6月から以下の改善を実施しました。
- 人気記事まとめページを新設し、TOPページからの導線を改善
- LPとクリエイティブを刷新し、現役大学生が選出した投資、バイト、資格などの記事を中心に構成
- Facebook(Instagram含む)、Twitterを活用してターゲット層へ訴求
これにより、就活意欲の高い学生だけでなく、幅広いテーマに興味を持つ学生層へもアプローチが可能となりました。
成果
6月はPV数、セッション数、セッションあたりのCV数が揃って増加しました。現役大学生が選んだ記事と、学生の関心に合った画像や広告文の組み合わせが奏功し、回遊率(セッションあたりのPV数)が向上しています。
成功のポイント
今回の施策成功の背景には、「ターゲットの再定義」と「興味関心に沿ったコンテンツ選定」があります。就活直結の情報だけでなく、学生生活に関連する幅広いテーマを取り入れることで、より多くの学生がサイト内を巡回するようになりました。
まとめ
今回は、これからSNS広告を始めたい方に向けて、SNS広告の基本的な特徴と、成功のために押さえるべき3つのポイント、さらに実際に弊社がご支援した事例をご紹介しました。
SNS広告は「どの媒体を使うか」や「どんな表現をするか」だけでなく、目的を整理 → ペルソナ設定 → 媒体を選定というステップをしっかり踏むことで、はじめて大きな効果を発揮します。
実際に配信することで、自社にとっての成功パターンが見えてきます。これからSNS広告を始めたいと考えている方は、ぜひ今回ご紹介した流れを参考に、まずは小さくても一歩を踏み出してみてください。