オフラインプロモーション効果測定ユニットESASYとは?
ESASY(えさしー)とは、株式会社クレストが提供するオフラインプロモーションの効果測定を可能にするユニットです。ESASYを利用することで、イベントや店頭広告といったオフラインプロモーションがどれだけ効果あったかを、映像解析の技術を用いることで測定することが可能です。
画像解析の仕組み自体は、株式会社フューチャースタンダード提供する映像解析プラットフォーム SCOREを利用しています。
今回は、ESASYで検出、ログテキスト化した動態検知・顔検知結果をGoogle BigQueryに蓄積し、そのデータを、Tableauでリアルタイムビジュアライズした事例の紹介です。
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株式会社フューチャースタンダードのウェブサイトはこちらです。

測定対象

測定対象は、株式会社フューチャースタンダード社が2016年10月26日~10月28日に出展した、「第2回 IoT/M2M展【秋】」の同社ブースにおける、以下のデータです。
ブースのパース図、平面図、および、カメラのIDは以下の通りとなっています。

ブースのパース図

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ブースの平面図と設置したカメラのID

IOT01~IOT06がカメラです。背景が黄色で示されているIOT1~IOT4が、関心度を計測するためのパネル別の顔検知カメラ。背景が青色で示されているIOT5、IOT6が動態検知で交通量を計測するためのカメラです。
このような配置にした目的は以下の3つです。

  • ブース前を通った人数を把握すること
  • ブース内まで来てくれた人数を把握すること
  • 各パネル/展示物が見られた回数を把握すること

目的に応じてフレキシブルにカメラの配置、検知対象種別を変更できるのもESASYの魅力です。
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BigQuery上に蓄積されたリアルタイムデータ

BigQueryに接続したデータはTableauで以下の通りに確認できます。カメラ別に検知した顔の数がリアルタイムで蓄積されていることが確認できるかと思います。
ESASYでは、検知した顔の数だけBigQueryにレコードが生成されますので、タイムスタンプごとの、カメラ別のレコード数をクロスタブ表で表現しています。
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完成したダッシュボード1 リアルタイム交通量ダッシュボード

以下が作成したダッシュボードの一つ「リアルタイム交通量ダッシュボード」です。日付を10月26日に絞り込んでいます。ブース外側に向けたカメラIOT06での顔検知数を「ブース前交通量」として、ブース内側に設置したカメラIOT05での顔検知数を「ブース内交通量」として可視化し、5分間の移動平均としています。
さらに、「ブース内交通量」を「ブース前交通量」で割って、「ブース立ち寄り率」を計算しています。ブース前、ブース内ともスタッフの顔を検知してしまっているところは今後の検討課題です。
また、測定前には「ブース内交通量」が「ブース前交通量」を超えることはないであろう。つまり、「ブース立ち寄り率」は100%以下であろうと想定していましたが、実際には、「ブース前交通量が少ないときにその人数を上回る人数がブース内にいる。」という状況が比較的一般的に発生したため、「ブース立ち寄り率」が100%を超えることがありました。
本来このダッシュボードは、「ブース前を通る人をブースに呼び入れる効率性」を測定するために作成したものです。ブース前のスタッフの立ち位置、チラシ等の配布の有無、コンパニオンさん利用の有無など、予めブース運用を設計し、その設計通りに現場で運用できれば、有用な知見を引き出せると思います。
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完成したダッシュボード2 時間別交通量ダッシュボード

以下のダッシュボードは、時間帯別の「ブース前交通量」、「ブース内交通量」の累計です。
このダッシュボードにより…、

  • 時間あたり、何人のお客様にブース内でじっくり説明できるのか?
  • ブース内に呼び込む人数に「目標値」を設定するとしたらどの程度の人数が妥当なのか?
  • ブース内交通量が少ない場合、「ブース前交通量」が少ないせいなのか、「ブース立ち寄り率」が低いせいなのか?の原因切り分け

などがわかります。
26日(会期初日)の13時台には非常に効率よくブース内にお客様を誘導できていることがわかります。この時間に接客に当たったスタッフは誰だったか?どんなトークスクリプトでブースに誘導したのか?をヒアリングし、他のスタッフに横展開するのは有意義なことと思われます。
また、累計を日別に見せることで、「昨日(や一昨日)と比較して、今日のブース内交通量が高いのか、低いのか?」が分かりますので、「声掛けをもっと頑張ろう」、「トークスクリプトを変えてみよう」といった判断が現場できるようになります。
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完成したダッシュボード1 モニター効率性ダッシュボード

ESASYは一旦顔を検知するとその顔がカメラのフレーム内に何秒間留まっていたか?をDurationという指標で保持しています。
その指標を利用して、パネルや展示物別にどれだけの顔を認知したのか、(=チラ見も含む顔検知数)その後、その顔はどの程度の秒数検知され続けたのか?をファネルで表しました。
また、Duration10秒以上を「展示物がユーザーの興味を喚起することができた」ある種のコンバージョンとして位置づけ、顔検知数に対する「10秒以上熟視」の割合を「10秒以上熟視率」というコンバージョン率としてビジュアライズしました。
結果、なかなか興味深いことがわかりました。
ブース内に立ち寄ってくれた人はもともと興味が高く、スタッフから「説明を受けたい」という意図があるものと思います。そのため、IOT01の顔検知数が非常に多くなっています。
ブースの導線設計上、IOT02カメラは少し狭いところにあり、お客様が落ち着けない場所にあるので、スタッフがIOT02には誘導しないため、IOT02の顔検知数はIT01の半分程度になっています。当日のスタッフの所感と合わせる必要がありますが、IOT02のパネルの展示場所には改善の余地があると思われます。
また(IOT04は途中で不調になったためデータからは除外しましたが、)IT03という一番「気軽に見ることのできる」展示物で「10秒以上視聴率」が最も高くなっているのも見て取れます。
IOT03の前に立ったスタッフの説明が上手だった可能性もありますが、もしかすると、説明員がすぐに説明せず、セルフサービス型でブース外側にいるユーザーに自由に見てもらう、。という方が効率よく「10秒以上熟視」を獲得できた可能性があります。
つまり、展示物の設計として、外向きには、分かりやすい、アイキャッチ力の強いプレゼンを提示し、20秒程度で完結するものとする。その上で、もっと知りたそうな顔をした人については、ブース内に誘導し、別の資料で詳細を説明する、といった展示物設計の最適化ができる余地があります。
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まとめ

IoTデータに関わらずあらゆるデータは、「何がおきているのか?」を分かりやすくビジュアライズし、改善のための適切なアクションを導くものではなくてはいけません。
その意味で、「IoTデータが取得できた」だけでは不十分であり、「ビジュアライズ」によって何が起きているのか?を把握し、分析によって、「改善案の立案」までつなげることのできる今回の事例は「IoTデータをいかにビジネスインパクトにつなげるか?」を検討されている皆さんのお役に立てて頂けるのではないかと思います。
プリンシプルでは、今後共、既に専門性を確立したウェブ解析、ウエブ広告データのビジュアライズだけでなく、IoTを含む多様なデータのビジュアライズ、知見抽出のスキルを高めることを方針としています。

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木田和廣

早稲田大学政治経済学部卒。取締役副社長。カスタマーサクセス室室長。チーフ・エバンジェリスト。

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