BtoBマーケティングの広告運用において、担当者の皆様は様々な手法でリード獲得に取り組んでいることと思います。しかし、『リードは獲得できるものの、なかなか商談や受注には至らない』といった悩みを抱えるマーケティング担当者も少なくありません。

特に最近では、広告費の高騰や競合の激化により、「問い合わせ単価が上がっているのに成果が出ない」という声が多く聞かれます。そこで注目されている広告の手法が、「VBB(Value-Based Bidding/価値に基づく入札戦略)」です。

VBBは、成果につながる質の高い問い合わせを増やし、広告運用のROI(投資収益率)を高める戦略として、近年BtoB企業をはじめとする非EC系のビジネスでも導入が進んでいます。

本記事では、「VBB」(価値に基づく入札戦略)について詳しく解説します。

「VBB(価値に基づく入札戦略)」とは?

VBB(Value Based Bidding)とは、コンバージョン1件ごとに“価値”を設定し、その価値に基づいて入札を行う広告運用手法です。

特にGoogle広告では、「目標広告費用対効果(tROAS)」と「コンバージョン値の最大化(CV値最大化)」の入札戦略を通じてこの戦略が実現できます。

BtoB広告でVBBが有効となる場面

近年のBtoB広告では、「資料ダウンロード」「セミナー申し込み」「お問い合わせ」など、様々なコンバージョンポイント(CVポイント)を設定する企業が増えています。

これらのコンバージョンをまとめて広告運用の最適化対象とした場合、「資料ダウンロード」も「お問い合わせ」も同じ「1コンバージョン」としてカウントされてしまいます。しかし、一般的には『資料ダウンロード』よりも『お問い合わせ』の方が、最終的な売上への貢献度が高く、価値が高いケースが多くあります。このような場合にVBBが有効なのです。

VBBの具体的な運用方法と価値設定例

コンバージョンポイントに応じた価値の重み付け

上述のようなコンバージョンが複数あるケースでVBBを運用する場合、まず各コンバージョンに価値を設定(重み付け)します。例えば、「お問い合わせ」の価値を20,000円とするなら、「資料ダウンロード」の価値は1,000円とする、といった具合です。

価値を設定した後、「目標広告費用対効果(tROAS)」または「コンバージョン値の最大化」といった入札戦略を用いることで、より価値の高いコンバージョン獲得が優先されるように広告配信が最適化されます。

価値設定の例:期待値に基づく価値の算出方法

コンバージョン値の付け方はいろいろありますが、一例を紹介します。

仮に以下の条件とします:

  • 資料ダウンロードからの商談化率5%
  • 問い合わせの商談化率:20%
  • 商談の受注率:25%
  • 1件あたりの平均受注額:50万円

この場合、

  • 1件の問い合わせの期待値: 0.2 × 0.25 × 500,000 = 25,000円
  • 1件のホワイトペーパーのダウンロードの期待値:0.05 × 0.25 × 500,000 = 6,250円

となり、広告プラットフォームに「問い合わせは25,000円の価値」「資料ダウンロードは6,250円の価値」と設定できます。シンプルな一例ですが、価値を算出する際に参考にしてください。

VBB運用を成功させるためのポイント(TIPS)

価値設計の定期的な見直し

設定した「価値」が実態とズレていると、誤った最適化が行われる可能性があります。とはいえ、マーケティング活動は日々複雑化しており、常に完璧な数値を設定するのは難しいかもしれません。

そこで重要になるのが、定期的に数値を見直し、「価値の再定義」を行うことです。ビジネス環境や営業プロセスの変化に合わせてチューニングしましょう。

正確なデータ連携とオフラインコンバージョン活用

CRMやSFAと広告プラットフォームを連携することで、ヒアリングや商談、受注といったオフラインでのデータを広告効果測定に活用できます。これらのオフラインコンバージョンにも価値を設定し、広告最適化に活用することで、より精度高くビジネス成果に繋がる運用が可能になります。

オフラインコンバージョンを活用した広告運用については、下記のブログで詳しくご説明しています。

社内(特に営業部門)との連携

「どのCVにどれだけの価値があるか?」の定義は、マーケティング部門だけでなく、営業部門とも連携が不可欠です。

実際の顧客の質や商談状況などは、マーケティング部門だけでは把握しきれない情報も多いため、営業部門と連携して価値基準をすり合わせることが重要です。部門間で協力できる体制を整えましょう。

まとめ

広告運用の最終目的は、単にコンバージョン数を増やすことではなく、「いかにして受注に繋がる質の高いコンバージョンを増やすか」「結果として売上を最大化するか」にあると言えるでしょう。

VBB(価値に基づく入札戦略)は、限られた広告予算の効果を最大化するための有効なアプローチの1つです。ぜひ今回の記事を参考に、導入を検討してみてください。

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川村 奈央

広告コンサルタント。前職ではWeb支援会社で戦略から施策まで幅広く対応。現在は広告コンサルタントとして、主にBtoB企業の広告運用の最適化を行う。

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