COVID-19パンデミックの下で、世界中でeコマースが成長しています。

ロックダウン・旅行禁止・小売店の閉鎖などにより消費者はオンラインで取引を行うようになり、eコマースの売上は過去最高を記録しました。

EC業界の成長と同時に、変化も生じています。この記事では、米国でECを運営するマーケターへ向け、2021年のECトレンドと考えるべき施策を解説します。

記事の内容

  • 世界のeコマースの現状と動向
  • 押さえておくべき3つのeコマーストレンド
  • ECサイトを運営するマーケターが考えるべき3つの施策

世界のeコマースの現状と動向

eコマースの売上高は世界中で増加


2020年の小売EC売上高の成長率

国が閉鎖され、小売業者も閉鎖を余儀なくされたため、eコマース売上は世界中で急激に増加しています。その結果、世界の総小売売上高の16.4%を占めるまでになりました。

このトレンドを牽引しているのはZ世代やミレニアル世代だけではありません。年配の消費者もオンラインに移行しており、米国では消費者の84%がパンデミックの間にオンラインで買い物をしたと言われています。

一方で、2021年にはeコマースの成長には地域差が現れる見通しです。例えば米国では、実店舗での小売売上高がパンデミックの急落から回復したため、成長は鈍化すると予想されています。アジア太平洋、ヨーロッパ、および中東では、今後5年間は米国よりも速く成長するでしょう。

アメリカの動向


アメリカにおけるeコマース収益の推移(U.S. e-commerce market size 2016-2023 | Statista

2019年の米国のEC売上高は3,431億5,000万ドルに達し、2024年には4,765億ドル近くに達すると予測されています。

また、2020年第3四半期の米国の小売売上高全体に占めるECの割合は14.3%で、前年同期の11.1%から急増しました。


米国の小売売上高全体に占めるEC割合の推移(US retail e-commerce sales share 2020 | Statisia

EC業界の中でも成長が顕著なのは、アパレルやアクセサリー分野です。米国のアパレル・アクセサリーのeコマース収益は、2024年までに1536億米ドルに達する予測です。

押さえておくべき3つのeコマーストレンド

トレンド1:eコマースブームで競争が激化

eコマースが急速に浸透した結果、競争も激化しています。従来の卸売業者はオンライン化し、ウォルマートのような世界的な小売大手もeコマースを始めました。

また、従来オンラインでは需要がなかった製品カテゴリー(生活必需品、健康、パーソナルケアなど)でも、eコマース顧客を獲得するための競争が始まっています。

さらに自国以外での購入(越境EC)もあり、競合の数は想像以上に多いです。越境ECは2020年1月から6月にかけて前年比21%増加し、高級品のオンライン販売は39%増加しました。

しかし新規参入企業の多くはUXで勝負する準備はできていません。そのため、すでに没入型のオムニチャネル・エクスペリエンスを持っているブランドが有利な状況です。

▼顧客獲得コストが増加

競争が激しくなった結果、デジタル広告にも資金が流入し、クリック単価など広告コストが急増しています。例えばFacebookでも顧客獲得コストはパンデミック前から急増しており、クリック単価はおおよそ1.4倍(約0.7$→約1.0$)になりました。


2020年の小売EC売上高の成長率

トレンド2:ソリューションを求める消費者とブランド構築

全消費者の約40%は目的志向で、自分の価値観に沿った製品やブランドを望んでいます。例えばAmazon検索の70%にはブランド名が含まれていません。これらの消費者は、たとえ割高でも気に入った商品であれば購入する傾向があります。

この「ソリューション探求」のトレンド下では、ブランド構築はこれまで以上に難しくなっています。

▼ブランド構築施策の例

  • 製品ページをリッチで没入型のある体験に変える。
  • 独自のチャネルを通じ、独自にカスタマイズされた製品を提供する。

しかし各消費者の目的を満たす(=パーソナライズされた)体験を提供するために必要なデータは、多くの場合で不足しています(プリンシプルではブランドのEC戦略をデータイネーブルメントとアナリティクスで支援していますので、ご興味がありましたらお問い合わせください)。

トレンド3:Cookie規制の流れでリテンションが最優先課題に

今後はサードパーティのデータよりもファーストパーティのデータが重要になります。というのも、世界的には、消費者や規制当局はビッグテックを警戒しており、GoogleやAppleに対し、チャンネルをまたいで広告ターゲット化しにくくするように促しているからです。

Google Chromeは2020年1月に3rd party cookieのサポート終了を発表しました(終了時期は未発表)。また、Firefoxはスーパークッキーの利用を事実上ブロックする機能をすでに導入しています。ブラウザによって時期や対策方法は異なるものの、このような流れは今後も続くものと考えられます。

こういった状況のため、クロスチャネル/デバイスの広告ターゲティングは困難になり、リテンションが最優先課題となっています。

ECサイトを運営するマーケターが考えるべき3つの施策

施策① カスタマーエクスペリエンスは必須

Shopifyのデータによると、オムニチャネル戦略を導入している小売業者は、パンデミック当初1ヶ月間に失われたPOS購入の94%をオンライン販売に置き換えています。

コロナ禍で、顧客のCXの役割と重要性が変わりました。いまの消費者はチャネルやデバイスを問わず、使いやすく直感的なデジタル体験を求めています。

アウトパフォーマー(パンデミック前・最中で同業者より繁栄)企業のCEOは、他の施策よりもモバイルショッピング体験(=CX)を優先させています。この調査結果は大きなヒントとなるでしょう。

施策② データとアナリティクスの基盤を改善

前述のとおり、今後はファーストパーティのデータが重要になります。そのため、データとアナリティクスの基盤を改善することが求められます。

例)

  • 顧客データと製品データを統一
  • 商品情報と在庫の同期

施策③ リテンションが最優先課題

トレンドで述べた「顧客獲得コストの上昇」や「広告の不確実性」への対抗策が必要です。

実際、ブランドは音声によるショッピングなど、新しいチャネルを試行錯誤しています。また、既存顧客の維持を優先させ、ボーナス商品など、既存顧客がより多くのお金を使うようにインセンティブを与えています。

まとめ

  • eコマースは、パンデミック下でも成長を続けている。その傾向はアメリカに限らず、世界的に見られる。
  • オンラインでの小売取引が増えるにつれ、競争が激化している。競合する製品は、大手小売店だけでなく越境ECからも参入している。
  • 競争の激化により、競合他社との差別化を図るためのCXの向上が求められる。
  • 獲得単価(CPA)が上昇し続けているため、マーケティングROIが向上している。 そのため、顧客維持率を向上させ、ブランドのファンを増やす必要がある。

この記事では、2021年のECトレンドとマーケターが検討すべき施策をご紹介しました。アメリカでのマーケティング活動の一助となれば幸いです。

プリンシプルはアメリカにもオフィスを持っており、より現地のトレンドに沿った、充実したコンサルティングが可能です。米国でのデジタルマーケティングや広告でお困りの方は、ぜひPrincipleにお問い合わせください。

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Kris Irizawa

Logitechなどのシリコンバレー・スタートアップ企業で9年間マーケティング解析を経験。プリンシプルアメリカの解析ディレクターとしてLA在住。

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