Looker StudioはGoogleが提供する無料BIツールであり、GA、Search Console、Google広告などのさまざまなデータを可視化できます。今回はLooker Studioを使ったGA4データの可視化についてご紹介します。

はじめに

Looker StudioでGA4のデータを可視化するには、以下の3つの方法があります。

  • ①GAコネクタでGA4とLooker Studioを接続する。
  • ②GA4データをBigQueryにエクスポートし、カスタムクエリ(SQL)を書いてBigQueryとLooker Studioを接続する。
  • ③GA4データをBigQueryにエクスポートし、FirebaseテンプレートレベルでGA4データとLooker Studioを接続する。

※③は、SQLを書かずにGA4データテーブルをそのまま接続する方法です。

BigQueryにエクスポートされるGA4データのテーブルは、Firebase 向けGoogleアナリティクスのデータ用のテンプレートを使用しています。そのため、GA4データテーブルをそのままLooker Studioに接続する方法は、Googleが公式に推奨するものではありません。

今回はLooker Studio初心者の方向けに、SQLを使わないGA4データの可視化についてお話しします。①と③のそれぞれの良い点・注意点をご紹介し、使えるディメンションと指標にどのような違いがあるのかを比較していきます。

GAコネクタ接続の良い点・注意点

良い点①:ディメンション・指標が豊富

最大のメリットはデフォルトのディメンションと指標が充実していることです。自らデータを定義しなくてもレポートを作成できるため、初心者の方でもハードル高くなくデータを可視化できます(使用できるディメンションと指標は、ブログ後半でご説明します)。

良い点②:無料で使用できる

Looker Studio自体が無料のBIツールであり、GA4のデータのリクエストにも料金は発生しません。使用できるテンプレートも豊富で、無料でクオリティの高いレポートを作成できます。

注意点:APIの割り当て上限がある

GAコネクタを使用する際、GA4 APIを通じてGA4のデータを取得しています。GoogleはこのGA4 APIリクエストに上限を設けており、リクエストが上限に達するとエラーが発生し、レポートにデータが表示されなくなります。

使用頻度や使用ユーザーが多いレポートや表示するグラフ数が多いレポートほど、上記のエラーが発生する可能性が高くなります。割り当て上限の詳細については公式ドキュメントをご参照ください。
Google Analytics Data API(GA4)- 割り当て

また、Looker Studioのトークンの使用状況及び残りのトークン数は以下の方法で確認できます。皆様がお使いのLooker Studioレポートではどれくらいトークンを使用するのか、確認してみてください。

確認方法:レポートを右クリック > [Googleアナリティクス トークンの使用状況] を選択

Firebaseテンプレートレベルでの接続の良い点・注意点

良い点:データリクエスト制限がない

GAコネクタ使用時とは異なりデータリクエストの上限はありませんので、途中でレポートが表示されなくなるといったエラーは起こりません。

注意点①:BigQueryへのデータリクエストが有料である

Looker StudioからBigQueryへアクセスする際、下記の無料枠を超えるとBigQuery側の利用料金が発生します。

ストレージ料金

  • 性質:BigQueryにデータを保存することにかかる料金
  • 無料枠:10GB/月

分析料金

  • 性質:クエリの処理にかかる料金
  • 無料枠:1TB/月

料金の詳細については公式ドキュメントをご参照ください。
料金 | BigQuery: クラウド データ ウェアハウス | Google Cloud

注意点②:計算フィールドを駆使する必要がある

Firebaseテンプレートレベルで接続した際、デフォルトで使用できる指標は2つのみで、ディメンションの数もGAコネクタで接続した場合の半分程度です。

GAコネクタで接続した場合のディメンションと比較すると、セッションベースのトラフィックソースeコマースのアイテムスコープのディメンションなどが存在しないことが分かります(具体的なディメンションと指標はブログの後半でご説明します)。

計算フィールドを使用してディメンションや指標を自力で作成することが前提となるため、GA4のデータテーブル構造を理解している必要があり、初心者の方にはハードルが高いかもしれません。

補足:Firebaseテンプレートレベル接続の可視化範囲には制限がある

GA4からBigQueryにエクスポートされたテーブルをそのまま接続した場合(Firebaseテンプレートレベルの接続)とBigQueryのテーブルをカスタムクエリ(SQL)で整形して接続した場合で、可視化できる範囲も異なってきます。

これついて弊社副社長の木田が執筆した記事「Looker StudioのBigQueryコネクタでGA4を可視化するときの注意点」がございますので、是非ご確認ください。

ディメンション・指標の違い

GAコネクタ接続のディメンション一覧

GAコネクタ接続の場合にデフォルトで使用できるディメンションは以下の85個です。加えて、GA4管理画面で設定したカスタムディメンションも使用できます。

  • App version
  • Content group
  • Google 広告のアカウント名
  • Google 広告の広告グループ ID
  • Google 広告の広告グループ名
  • Google 広告の広告ネットワーク タイプ
  • Item promotion Name
  • N か月目
  • N 週目
  • N 日目
  • OS のバージョン
  • アイテム ID
  • アイテム プロモーション ID
  • アイテム プロモーションのクリエイティブ名
  • アイテムカテゴリ
  • アイテムカテゴリ 2
  • アイテムカテゴリ 3
  • アイテムカテゴリ 4
  • アイテムカテゴリ 5
  • アイテムのブランド
  • アイテムリスト ID
  • アイテムリスト名
  • アイテム名
  • イベント名
  • インタレスト カテゴリ
  • オーダークーポン
  • オペレーティング システム
  • オペレーティング システム(バージョンあり)
  • キャンペーン
  • キャンペーン ID
  • コンテンツ ID
  • コンテンツ タイプ
  • コンバージョン イベント
  • ストリーム ID
  • ストリーム名
  • セッション – Google 広告の広告グループ ID
  • セッション キャンペーン
  • セッション メディア
  • セッションのデフォルト チャネル グループ
  • セッション参照元
  • デバイス
  • デバイス カテゴリ
  • デバイスのブランド
  • デバイスモデル
  • トランザクション ID
  • ブラウザ
  • プラットフォーム
  • ページ タイトル
  • ページ タイトルとスクリーン クラス
  • ページ タイトルとスクリーン名
  • ページの完全な URL
  • ページパス + クエリ文字列
  • ページパス + クエリ文字列またはスクリーン クラス
  • ページ階層
  • ホスト名
  • メディア
  • モバイルモデル
  • ユーザー – Google 広告の広告グループ ID
  • ユーザー – Google 広告の広告グループ名
  • ユーザー – Google 広告の広告ネットワーク タイプ
  • ユーザー ID でログイン済み
  • ユーザーのキャンペーン
  • ユーザーのメディア
  • ユーザーの参照元
  • ユーザー名
  • 画面の解像度
  • 言語
  • 言語コード
  • 国 ID
  • 最初のセッションの日付
  • 参照元
  • 参照元プラットフォーム
  • 市区郡
  • 性別
  • 対象 ID
  • 地域
  • 都市 ID
  • 日付
  • 年齢
  • 曜日

GAコネクタ接続の指標一覧

GAコネクタ接続の場合にデフォルトで使用できる指標は以下の47個です。ディメンションと同様、GA4管理画面で設定したカスタム指標も使用できます。

  • 1 日のアクティブ ユーザー
  • 28 日間のアクティブ ユーザー数
  • 7 日間のアクティブ ユーザー
  • ARPU
  • e コマース購入数
  • アイテム プロモーションのクリック率
  • アイテムのビューイベント数
  • アイテムの収益
  • アイテムリストのクリック イベント数
  • アイテムリストのクリック率
  • アイテムリストのビューイベント数
  • アクティブ ユーザー数
  • イベントの値
  • イベント収益
  • イベント数
  • エンゲージのあったセッション数
  • エンゲージメント率
  • カートに追加
  • カートに追加されたアイテム数
  • コンバージョン
  • セッション
  • セッションあたりのイベント数
  • トランザクション
  • プロモーションでクリックされたアイテム数
  • プロモーションで表示されたアイテム数
  • プロモーションのクリック数
  • プロモーションのビュー数
  • ユーザー エンゲージメント
  • ユーザーあたりのイベント数
  • ユーザーあたりのセッション数
  • リストでクリックされたアイテム数
  • リストで表示されたアイテム数
  • 決済されたアイテム数
  • 決済回数
  • 広告収入合計
  • 購入されたアイテム数
  • 購入による収益
  • 購入による平均収益
  • 合計収益
  • 視聴回数
  • 初回購入者数
  • 新規ユーザー数
  • 総ユーザー数
  • 総購入者数
  • 表示されたアイテム数
  • 表示後にカートに追加された商品の割合
  • 表示後に購入された商品の割合

Firebaseテンプレートレベル接続のディメンション一覧

Firebaseテンプレートレベル接続の場合には以下の45個のディメンションを使用できます。また、GA4管理画面で設定したカスタムディメンションは使用できません。

  • Acquired Campaign
  • Acquired Medium
  • Acquired Source
  • Advertising ID
  • App ID
  • App Install Source
  • App Version
  • City
  • Continent
  • Conversion
  • Country
  • Days Since First Touch
  • Device Category
  • Device Model (OS)
  • Event Date
  • Event Name
  • Event Param Name
  • Event Param Value
  • Event Param Value (String)
  • Event Previous Time
  • Event Time
  • Event Time Offset
  • Event Value (USD)
  • Firebase App ID
  • First Touch Time
  • Language
  • Limit Ad Tracking Enabled
  • LTV Currency
  • LTV Revenue
  • Mobile Brand Name
  • Mobile Marketing Name
  • Mobile Model Name
  • OS
  • OS Version
  • Platform
  • Region
  • Stream ID
  • Time Zone Offset
  • User ID
  • User Property Name
  • User Property Value (Double)
  • User Property Value (Integer)
  • User Property Value (String)
  • User Pseudo ID
  • Vender Device ID

Firebaseテンプレートレベル接続の指標一覧

Firebaseテンプレートレベル接続の場合にデフォルトで使用できる指標は以下の2つのみです。カスタムディメンション同様、カスタム指標は使用できません。

  • Event Count
  • Unique Users

最後に

今回ご紹介した2つの可視化方法の良い点・注意点は以下の通りです。

GAコネクタ Firebaseテンプレートレベル
良い点 ・ディメンション・指標が豊富
・無料で使用できる
・データリクエスト制限がない
注意点 ・APIの割り当て上限がある ・データリクエストが有料である(無料枠あり)
・計算フィールドを駆使する必要がある

 

GAコネクタでの接続はデフォルトで使用できるディメンション・指標が多く、容易に高度な分析を可能にしてくれます。ですが、APIの割り当て上限は懸念点ですね…。

使用するグラフの数やレポートの使い方によってエラーが発生する頻度は変わってきます。エラーが頻繁に発生してしまう場合には、レポートのメール配信機能を活用して使用するトークン数を削減したり、BigQueryの使用を検討されても良いかもしれません。

プリンシプルはLooker Studioを活用したGA4データ可視化の支援サービスを提供しております。セミナーも定期的に開催しておりますので、是非ご確認ください。

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小竹理菜

早稲田大学社会科学部卒。学生インターンを経て新卒でプリンシプルに入社。Googleアナリティクスや運用型広告の設計・実装を担当。GAIQ、Google広告認定資格所持。

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公開日:2023年02月

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