皆さんは、競合調査はどのように行っていますか?

……はい、いつも書き出しをどうしようと悩むRayです。

本日もブログを読みに来てくださり、ありがとうございます。

今回は、皆さんにどんな情報をお届けしようかと考え、最近、社内のエンジニアチームに話したら反応が良かった「他社のGTMの設定を確認する方法」をご紹介しようと思います。

改めてですが、当社プリンシプルで私は、GA4・GTMを中心としたエンジニアリング領域をメインに担当しています。UAの頃から使い始めてもうすぐGA歴10年です。昔から黙々と独学で勉強することが多く、GA・GTM関連の学習も、誰かから学ぶ機会はなかなかありませんでした。

そんな私の趣味が、他社のGTMやWEBビーコン、dataLayerを読むことです。王道な学習方法を知る機会がなかった結果、非常に屈折した学習方法に辿り着きました。ゼロから考えるのではなくでき上がったものを参考に知識を吸収していくこの方法は、自分の性格と性質には合っていたようで、今日に至るまで助けられています。

そこで今回は、権限がないGTMコンテナに設定されているGA4イベントの設定内容を読み解く方法をご紹介します。例に漏れず今回もマニアックな内容であるため、GTM中級者〜上級者向けの内容になっています。ディープな世界へ踏み入れる準備ができた方からお進みください。

他社のGTM、そもそもアクセスできるの?

結論、できません!

権限がないため、当然GTMの管理画面から見ることはできません。ですが、GTMは管理画面でしか確認できないデータではありません。WEBサイト上で設定内容を受け渡す必要があるため、以下の手順で誰でも確認できます。

GTMのGA4イベント設定をWEBサイト上で見る手順

1. 調査対象のWEBサイトにアクセス
2. デベロッパーツールを起動
3. [ソース] タブを開く
4. www.googletagmanager.com > gtm.js?id=GTM-XXXとなっているファイルを開く
5. 「"function": "__gaawe"」と検索

直接、https://www.googletagmanager.com/gtm.js?id=GTM-XXX の形式でアクセスして確認することもできますが、非常に読み解くのが難しいためデベロッパーツールからの方法をおすすめします。

弊社コーポレートサイトに設置しているGTMを使って検証してみると、GTMに設定しているGA4イベントタグの設定数と一致していることが分かります。

データの見方

実際の設定内容を確認しながら、データの見方をご紹介します。基本的に以下の3つさえ確認できれば、おおよその計測内容を推測可能です。

  • vtp_eventName:
    GA4イベントの名称
  • vtp_eventSettingsTable:
    イベントに紐づくパラメータをまとめている。
    ["map", "parameter", "パラメータ名", "parameterValue", "パラメータに紐づける値"] の配列になっている。
  • vtp_userProperties:
    イベントに紐づくユーザープロパティをまとめている。
    ["map", "name", "ユーザープロパティ名", "value", "ユーザープロパティに紐づける値"] の配列になっている。

今回は文字列を値としていますが、本来は変数を指定しているケースが多いはずです。変数はmacro+ナンバリング(例: ["macro", 5])で表現されます。変数の設定内容を確認する場合は「"function": "__v"」等で検索することで確認できますが、変数タイプによってfunctionが異なるため注意が必要です。

次に、別イベントの設定内容も確認してみましょう。

こちらの場合、以下の情報を読み取ることが可能です。

  • イベント名:
    read_complete
  • 紐づくパラメータ:
    • content_type: Blog
    • item_id: macro22
    • blog_author: macro8

これらの情報から、「著者別のブログ読了数をread_completeイベントで計測している」と推測することが可能です。

AIを使ってよりスピーディな調査を

見方さえ理解してしまえば、非常にシンプルな方法で調査できることがお分かりいただけたかと思います。ですが、変数やトリガーの確認は少し難易度が高かったのではないでしょうか。

そんな時には、AIの登場です。GTMのjsライブラリをエクスポートし、Gemini等に解析依頼をしてみましょう。一覧を作成することもできますが、膨大な量となるため、今回は先ほど確認したread_completeイベントを対象に依頼を行います。

<Geminiの回答>

read_complete イベントに関して、推測できるイベントの計測目的と設定内容は以下の通りです。

1. 計測目的の推測

ブログ記事の読了計測: このイベントは、ブログ記事が最後まで読まれたことを計測することを目的としていると考えられます 。ウェブサイトのコンテンツがユーザーにどれだけ深く読まれているかを把握し、コンテンツの質やエンゲージメントを評価するために利用されます。

2. 設定内容

イベント名: read_complete

関連するMeasurement ID (GA4プロパティ): マクロ3 (G-7LY1J9XCLL)

紐付けられている変数:

content_type: "Blog" (固定値)
これは、読了したコンテンツの種類がブログ記事であることを明確に示します 。

item_id: マクロ22
マクロ22の定義: __u 関数で、URLのフルURLが取得されます 。このイベントの文脈では、読了したブログ記事のURL、またはURLから抽出された記事のIDを指すと考えられます。

blog_author: マクロ8
マクロ8の定義: __jsm 関数(カスタムJavaScript)で取得されます 。このスクリプトは、ページ内の script[type="application/ld+json"] 要素から、BlogPosting タイプのJSON-LDデータを解析し、その中の author.name の値を取得します 。これにより、どの著者の記事が読了されたかを計測できます。

ユーザープロパティ: 有効化されています 。

これにより、ユーザーに関連する追加情報(例: ユーザーID、FacebookクライアントIDなど、マクロ12で設定されるもの)がイベントと一緒に送信されます 。

トリガー:
トリガータイプ: 要素の表示 (gtm.elementVisibility)
具体的な条件:
eq マクロ0 (gtm.event) gtm.elementVisibility
eq マクロ5 (ページのカテゴリ) ブログ

マクロ5の定義: __remm 関数を使用しており、マクロ4(Page Path)の値に基づいてページのカテゴリを決定します。/column/(.*) (つまり /column/ で始まるパス) の場合は "ブログ" を返します 。これにより、ブログ記事ページでのみこのトリガーが発火するようになっています。

_re マクロ20 (トリガーID) ($|((|,)509315_151($|,)))

マクロ20の定義: __v 関数で、データレイヤー変数 gtm.triggers の値が取得されます 。

これは、特定の要素が画面に表示された際にイベントを発火させるトリガーを示しており、ID 509315_151 に対応する要素セレクタは #sec-tag です 。

したがって、ブログ記事の末尾や読了を示す特定の要素(IDが sec-tag)が画面に表示された時点で、読了と判断しイベントが発火します 。

まとめると、read_complete イベントは、ユーザーがブログ記事ページの特定の要素(おそらく記事の末尾)までスクロールして表示した際に、その記事が読了されたとみなし、記事のIDや著者名といった詳細情報とともにGA4にイベントを送信し、ユーザーのコンテンツエンゲージメントを深く分析するために設定されていると推測できます。

AIを活用することで、調査が面倒だったトリガーと変数の情報も、一度に確認できるようになりました。

同じ方法ですべてのイベントに対して依頼を行えば、簡単に競合調査が可能です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

GTMを利用している企業は多いため、今回ご紹介した調査方法は汎用性が高く、また手順さえ理解してしまえば非常に簡単です。

今回はGTMを例に挙げましたが、さまざまな方法でGA4や広告等についても、WEB上の計測内容は調査が可能です。その調査もAIを活用すればよりスピーディに行うことができてしまいます。

ですが、エンジニアリングの知識がないとAIを活用するためのアイディアを思いつくのは難しいです。AIが有用なことは言うまでもありませんが、その活用方法を設計するのは、あくまで人間です。ですので、AIに頼りきりにならず、マニュアルによる知識習得も重要です。

当社では、現在AIを活用した分析に力を入れており、より高品質なサービスのご提供に努めております。GA4に限らず、SEOや広告を含めた横断的なサポートも可能ですので、ご興味がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

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Ray

2017年にDMM.comに入社し、Google アナリティクスをはじめとしたGoogle製品の社内統括と設計に従事。元Google アナリティクス公式エキスパート。

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