「どのページを見たユーザーがCVしやすいのか」はよく分析されますが、ユーザーは1つのページだけを見てCVするとは限りません。いくつかのページを回遊し、その組み合わせが「買う」「問い合わせをする」という行動に強く影響していることが多々あります。

この記事では、GA4の「セグメントの重複レポート」を使って、CVに貢献する「ページの組み合わせ」をデータから見つけ出す手順を、初心者の方にも分かりやすく解説します。この分析をマスターすれば、CVR改善の新たな突破口が見つかるはずです。

手順1. 主要なページカテゴリを選定する

まずは、分析の準備です。対象のサイトで特に重要だと考えられる、あるいはユーザーの回遊を促したい「主要なページカテゴリ」を3つ選んでみましょう。

たとえば、ECサイトなら…

  • 商品一覧ページ:多様な商品の中から、ニーズに合致する商品を効率的に絞り込むためのページ
  • 商品詳細ページ:商品の詳細情報を伝え、購入の意思決定を促すページ
  • 特集ページ/キャンペーンページ:ユーザーの購買意欲を刺激するページ

BtoBサイトなら…

  • サービス/ソリューションページ:サービス内容を深く理解してもらうためのページ
  • 導入事例ページ:ユーザーの信頼を獲得し、行動を後押しするページ
  • 会社情報ページ/料金ページ:問い合わせ前の不安を解消するページ

このように、サイトのゴール(CV)に繋がりやすいと考えられるカテゴリを3つほど選んでみてください。

手順2. 各ページカテゴリごとにユーザーセグメントを作成する

次に、GA4の探索レポートを使い、先ほど選んだ3つのページカテゴリごとに「そのページを見たユーザー」というグループ(=セグメント)を作成していきます。

このあと活用するセグメントの重複レポートでは、これらのセグメント同士を掛け合わせることで、各組み合わせのユーザー行動を比較できます。

セグメント作成の方法

  • GA4左メニューの「探索」から新規の探索レポートを作成します。
  • 左側にある「セグメント」セクションの「+」ボタンをクリックし、「新しいセグメントを作成」→「ユーザーセグメント」の順に選択します。
  • セグメント名に「カテゴリA閲覧ユーザー」など、分かりやすい名前を付けます。
  • 「ページパスとスクリーンクラス」の一致条件を指定し、「カテゴリAを閲覧した」という条件でセグメントを作成します。
  • 同様に、残りの2つのカテゴリについても、同じ手順でセグメントを作成します。

これで、3つのユーザーセグメント(カテゴリA閲覧ユーザー、カテゴリB閲覧ユーザー、カテゴリC閲覧ユーザー)が完成しました。

手順3. ページの組み合わせ別にユーザー数、CVRを比較する

いよいよ、分析の本番です。作成した3つのセグメントを「セグメントの重複レポート」に適用して、各組み合わせの成果を比較します。

セグメントの重複レポートの見方

  1. 「セグメントの重複レポート」を選択します。
  2. 「セグメントの比較」に、先ほど作成した3つのユーザーセグメントを設定します。
  3. レポートの画面に、3つの円が重なり合った図が表示されます。

この円が重なっている部分が、「複数のセグメントに該当するユーザー」、つまり「複数のページカテゴリを閲覧したユーザー」です。グラフの下にあるテーブルには、「セグメントの組み合わせ」ごとのユーザー数が表示されます。

CVRを比較する

このままではユーザー数がわかるだけなので、CVRを比較できるように設定を変更します。

右側の「タブの設定」から「指標」の項目に、「セッションキーイベント率」「ユーザーキーイベント率」等のCVR系の指標を追加します。

ここから得られる示唆の例

  • 「特集ページ」と「商品詳細ページ」の両方を見たユーザーは、どちらか片方のみを閲覧したユーザーよりもCVRが2倍高い
  • 「キャンペーンページ」のみを見たユーザーは、CVRは高いが数が少ない
  • 「会社情報ページ」と「導入事例ページ」を両方見たユーザーは、CVRが非常に高い

このように、データから「CVに貢献する黄金の組み合わせ」を発見できます。

「この組み合わせを閲覧するユーザーを増やすにはどうしたらいいか?」「流入が多いカテゴリAから、一緒に閲覧されるとCVRが高くなるカテゴリBへの遷移を促すには?」といった、具体的な改善策を考えるヒントになるはずです。

※キーイベントに登録されているイベントが複数ある場合は、純粋な購入CVRや問い合わせCVRなど、特定の1イベントのCVRを表示できません。少し手間ですが、同じレポートを2つ作成し、片方にイベント名でフィルタをかけ、手動でCVRを計算する必要があります。

※画像内のプロパティではキーイベントに複数のイベントが設定されているため、一般的なCVRよりも高い数値が表示されています。

まとめ:あなたのサイトの「黄金ルート」を見つけ出そう!

今回は、GA4の「セグメントの重複レポート」を活用して、CVに貢献する「ページの組み合わせ」を発見する方法を解説しました。

ただ闇雲に回遊率を上げるのではなく、「どのような回遊が成果に繋がるのか」をデータから見つけ出すことがCVR改善への近道です。この分析手法を使いこなして、CVまでの黄金ルートを探してみましょう。

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長谷川実由

解析コンサルタント。プリンシプル入社後、コンサルティングセールスとして多様な業種のマーケティング施策設計に従事。
現在は解析コンサルタントとして、サイト解析支援に加え、GA4やLooker Studioなど各種ツールのトレーニング講師も務める。
これまでのセールス経験を活かし、お客様のビジネス課題に対し幅広い視点でのサービス提案を行っている。

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