2025年7月30日に「生成AI 初心者向けGA4と生成AIのはじめの一歩 GA4分析を10倍効率化するために最初に知っておくべき基本の”き”」というテーマでウェビナーを開催しました。ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました!

本ウェビナーでは、GA4の設定を精緻化することで得られる詳細なデータと、そこから導き出せる具体的な分析手法を解説しました。この記事では、本ウェビナーの内容をまとめます。

1. AI×考察

ユースケース① ~データに基づいた現状の「強み」と「弱み」の言語化~

Webサイトをよりよくするため、振り返りと今後の取り組みを検討する機会が定期的にあるかと思います。例えば「次の四半期でどのコンテンツに注力すべきか」を議論する場合、感覚的な意見だけでなく、データに基づいた判断も必要です。その際にはAIの活用がおすすめです。

ープロンプト

以下のプロンプトで「次の四半期でどのコンテンツに注力すべきか」がわかります。赤字部分は、サイトや業務内容に応じて変更し、背景の部分には、サイトの目的などを入れてください。

プロンプトに必要なものは、「対象期間の主要なサマリーデータ」です。具体的には、GA4の「トラフィック獲得」レポート、「ページとスクリーン」などのページ単位のレポート、もしくは「ランディングページ」レポートデータをCSV形式またはスプレッドシートでダウロードしたデータが必要です。

ーアウトプット

以下が、プロンプトと渡したデータから得られたアウトプット例です。

まず、サイトの強みを抽出できています。例えば、オーガニック検索がコンバージョンに寄与している点が挙げられています。また、「コンサルタント一覧ページ」や「各サービスページ」のエンゲージメント率など、ページ単位での訴求もされています。

一方、弱みとして、ブログ記事からの流入がサイト内回遊や事業成果に十分に繋がっていない点や、検索連動型広告の費用対効果(CPA)が挙げられています。

さらに、強みと弱みを知った後に、深堀り分析してもらい、ネクストアクションにつなげるようにしています。実際のAIからの提案は、高CVRを誇るオーガニック検索の勝ちパターンの特定をし、他のサービスページやコンテンツマーケティングに応用することを推奨しています。

ユースケース② ~ユーザー離脱ポイントの背景を推察~

Webサイトで、BtoBの問い合わせフォームのアクセスは多いが問い合わせ自体は少ない、という課題がよくあります。このフォームのどこに問題があるのかを特定したいときにAIを活用できます。

ープロンプト

以下がプロンプトの例です。こちらも赤字の部分は環境に応じて変更してください。

用意するものは、「フォーム画面のスクリーンショット」「探索レポート中のファネル分析を可視化したもの」です。こちらも数値をCSVやスプレッドシートに出し、ファイルをAIに読み込ませます。

ーアウトプット

こちらのアウトプットでは、フォームの入力項目が少し多いため、項目を減らすことで離脱を避けられるのではないかと提案しています。また、情報の信頼性に関しても指摘しており、多角的に課題を抽出しています。

また、UI/UX上の課題点も具体的に抽出しています。フォームの場合、リアルタイムでのエラーチェックがあることで、ユーザビリティが上がるのではないかという提案をしています。

ユースケース③ ~データ異常値の原因仮説を提示~

GA4計測の担当者から、「特定のページアクセスが増えているが、原因がわからないケースがある」という声をいただきます。この場合、AIを活用することで多角的に要因や仮説を抽出し、特定のページで何が起きたかを把握できます。

気をつけるポイントは、外的要因と内的要因の両方から仮説を出してもらうことです。外的要因であれば、特定のニュースの配信があった、内的要因であればGA4の計測に問題があるなどが考えられます。

ープロンプト

プロンプトには、Webページ内で何が起きているのかという「背景」の部分と、分析/調査の方法を伝える「依頼」の部分を含んでいます。詳細な「背景」と「依頼内容」を伝えることで、より精緻なアウトプットが得られます。

用意するものは、該当ページのアクセス数が急増していることがわかるレポートのスクリーンショット、CSVまたはスプレッドシートです(期間比較があるとなお良いです)。

ーアウトプット

こちらのアウトプットでは、特定ページのアクセス数が急激に増えている外的要因を、表形式でまとめています。AIが3つの仮説を理由と可能性とともに示してくれるため、内容に説得力があります。

続いて、内部要因は「海外からのスパムアクセスがあるのではないか」、「タグが二重発火しているのではないか」など、エンジニア領域からの指摘もあります。

2. AI×施策立案

ユースケース① ~LP改善案を具体的に作成~

広告の管理をしていると、広告とLPのメッセージの不一致が原因で、LPの直帰率が非常に高くなってしまうケースがあります。この課題に対する施策出しにおいても、AIの活用が非常に有効です。

ープロンプト

以下のプロンプトを使用することで、AIがLPの改善案を提案してくれます。

こちらのプロンプトも赤文字の部分は、使用する方の業務内容や環境に応じて変更してください。また、「どのようなキーワードで訴求しているのか」「クリックしたユーザーは何を期待してクリックしたのか」など、詳細な情報を読み込ませることが、より精緻なアウトプットを出すために重要です。

用意するものは、「出稿している広告のテキストやバナー」、「該当LPのURL、もしくはスクリーンショット」です。もし、複数のキャンペーンを読み込ませたい場合は、「該当キャンペーンからの流入における直帰率データ」も用意できるとなお良いです。

ーアウトプット

アウトプットでは改善案をただ出すだけではなく、「LPをどのように変更するのか」といった、改善案のポイントも併せて提示してくれます。具体的な案を得ることができるため、ネクストアクション検討の助けになります。また、画像の要素やCTAボタンの修正点など、ビジュアル面に関しての指摘も得られました。

ユースケース② ~A/Bテストの仮説とバリエーションを立案~

ECサイトを運営している担当者の方からよく聞くお悩みの1つが、「商品詳細ページにはアクセスがあるのに “カートに入れる” ボタンのクリック率が低い」という問題です。この場合、AIの活用によって、A/Bテストの際の仮説出しやサイトのバリエーション出しをすることができます。

ープロンプト

今回のプロンプトの特徴は、AIに3つの案を出すように依頼している点です。具体的に3つの案としては、「現状維持」(A案)、2つの「バリエーション」(B案、C案)です。アウトプットでは、それぞれの案の「狙い」や「変更ポイント」を示してもらうようにプロンプトを入力します。

用意するものは、該当のCTAボタンがあるページのスクリーンショットと、現状のCTAボタンに対する仮説です。AIは、これらの要素を踏まえたうえで改善案を提案してくれます。

ーアウトプット

今回のアウトプットでは、A案を現状維持としています。B案では、視覚的に色の調整など少し修正を加えた提案をしています。C案では、視覚的要素以外にも、文言やアイコンなどの変更案も出しています。このように、具体的にページデザインに対する改善案を提示してくれます。

しかし、これらの案をそのまま採用するのではなく、出てきたアウトプットを基に私たちが考えていくことが必要です。

ユースケース③ ~ユーザーニーズに基づいた新規コンテンツ(記事)企画~

Webサイト担当者から「GA4で平均エンゲージメント時間が極端に短い記事を発見することがある」という声をよく聞きます。エンゲージメント時間が低い記事をどのように修正していくべきか、検討する際に使えるプロンプトをご紹介します。

ープロンプト

こちらのプロンプトでも、背景や過去知見の内容は、経験や環境に応じて変更してください。このケースでも、詳細な「背景」「依頼」「過去知見」をプロンプトに含めることで、より精緻なアウトプットを出すことができます。

用意するものは、「エンゲージメント時間が短いことを示すデータ」と「該当記事のテキスト」です。

ーアウトプット

アウトプットでは、いくつか記事のリライト案を提示してくれています。アウトプットから得られた具体的な改善例は、「3分でわかる要約ボックス」を冒頭に置く、また「身近なもの」への「例え話」を使うなどです。

3. AI×GA4設定

ユースケース① ~最新のGA4アップデート・変更点の把握~

GA4のアップデートは定期的に行われます。新しいGA4のアップデートが起こると、それがどのような影響を業務に及ぼすのか、気になるのではないでしょうか。AIは、GA4の管理画面のUI変更や新機能の追加、既存機能の仕様変更等の情報を把握し、アップデートの影響と具体的な対応策をチームに共有する場面でも活用できます。

プロンプト

このケースでのプロンプトのポイントは、4つの依頼をしている点です。

具体的には「アップデート内容」「アップデートがプロパティに与える影響」「作業者が対応すべき点」「他の人に説明する際のポイント」の4つです。

用意するものは、公式ドキュメントの発表内容、GA4のUI変更点のキャプチャ、自身が管理するGA4プロパティの概要です。

ドキュメントに関しては、「what’s new in Google analytics」という公式のドキュメントがあり、随時アップデート情報が追記されていきます。日本語版もありますが、英語から日本語に直訳されており、ニュアンスがずれることがあります。そのため、AIに読み込ませる際は、英語のまま入力した方が精緻なアウトプットを出してくれます。

ーアウトプット

AIが、アップデートの概要とGA4プロパティへの影響をアウトプットしてくれます。具体的には、アップデートによって「どのような分析、レポートを出すことができるようになるのか」という点です。

ユースケース② ~UTMパラメータ案の提案~

広告などの流入獲得施策の効果測定をGA4で効率よく行うために、UTMパラメータの値を使用していきたいと思っている方は、AIの活用を検討してみてはいかがでしょうか。Googleが事前定義するチャネルグループルールと、過去の流入施策で使用したUTMパラメータの値をAIとともに活用することで、新規流入施策で使用するUTMパラメータ検討を効率良く行うことができます。

ープロンプト

今回のプロンプトのポイントは「AIに与えるデータをどのように読み取ってほしいか」、詳細に指定することです。

用意するものは「UTMパラメータとチャネルグループ対応表」「過去のUTMパラメータ一覧」です。

ーアウトプット

アウトプットでは、今回の流入施策で使用するUTMパラメータの提案を、理由とともに提示してくれます。アウトプットを他の方と共有することで、運用者が複数いる場合でも、使用するUTMパラメータを統一することができます。

ユースケース③ ~GTM用のJavaScriptコードの自動生成~

GA4で深堀分析をして、サイト内検索の精度/ユーザビリティを把握したいと考えている方は多いのではないでしょうか。このような場面でも、AIを活用できます。例えば、サイト内検索時のキーワードとヒット件数をAIで取得をし、GA4のパラメータにイベントとして載せることができます。

ープロンプト

こちらのプロンプトでは、「どのようにサイト内検索を改善したいか」、「情報をサイトのHTMLのどの部分から取得できるのか」をAIに伝えます。

用意するものは、「サイト内検索キーワード」「検索結果のヒット件数情報を取得できるHTMLの要素」です。

ーアウトプット

アウトプットでは、「サイト内検索キーワード」を取得する変数の作成手順と「ヒット件数」を取得する作成手順を提示してくれます。AIを活用することで、GTMを使い慣れていない方やJavaScriptを書いたことがない方も、簡単にコードを生成することができます。

4. よくあるGA4分析の落とし穴

GA4の落とし穴① 流入元情報が適切に取得できておらず、集客施策への有効示唆が得られない

対処法としては、UTMパラメータの精緻化が挙げられます。「AI×GA4分析のユースケース②」で記載したとおり、AIを活用することで、UTMパラメータを正しく設定することができます。UTMソースとメディア、キャンペーンの値を揃えて設定すると、GA4で正しい情報を取得できます。

GA4の落とし穴② サイト内のコンテンツ群全体のパフォーマンス評価をしたいが、ある1ページのみを対象に分析してしまっている

この場合、GA4のデータ実装で解決できます。具体的にはコンテンツグループを実装します。

パラメータの中にコンテンツグループを付与し、特定のページがどのカテゴリに値するのかを設定することで、コンテンツグループ別のユーザー数や表示回数を閲覧することができます。

GA4の落とし穴③ 独自のイベント名を設定してしまい適切に可視化できない

主にECサイトにおいて、取得推奨イベントを独自のイベント名で実装していると、レポート上で適切にデータ表示ができないことがあります。また、推奨のイベント名で実装されていないと、以下のようなファネルで正しく可視化できません。

このレポートは、ECサイトの購入経路を表すレポートです。このレポートにデータが反映されるためには、グーグルが推奨しているイベント名でデータを取得する必要があります。

特に表の中で赤字で書かれている「イベント名」は、標準レポートでも確認できる部分であるため、実装をおすすめしております。

5. まとめ

この記事では、ウェビナー「生成AI 初心者向け GA4と生成AIのはじめの一歩 GA4分析を10倍効率化するために最初に知っておくべき 基本の”き”」の内容をまとめました。

こんな方におすすめ

  • 業務内でGA4を活用する方
  • GA4設定に疑問を抱いている方
  • GA4で深堀分析をしたい方

また、弊社ではGA4やLookerStudioに関するご支援を多数行っております。お困りごとがある際は、いつでもお気軽にお問い合わせください。

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