近年の様々なAIツールの発展に伴い、日々の業務効率アップに取り入れたいと考えながらも「どんなツールが目の前の業務に適しているか判断できない」「どんなツールが目の前の業務に適しているか判断できない」など、イマイチ活用しきれていない人も多いのではないでしょうか。

日々めまぐるしくアップデートされる技術や情報を全てキャッチアップできなくとも、まずは気軽に試し、自分が取り入れやすいと感じたものを使い込んでいくことで、業務の効率性が上がり空いた時間で新たな挑戦ができるようになるかもしれません。

この記事は、「広告アカウントの運用経験4年」「生成AI領域の知識は初心者」な筆者が広告レポート作成の効率を上げるためにAIツールを使ってみた記録です。

※記載するAIの回答結果等は2025年7月末時点の情報となります。

広告クエリ分析の前提条件

分析対象

教育系クライアントが開催する合同説明会イベントの集客広告を、Google検索広告で配信した際のクエリ

分析して欲しいこと

  • ① クリック数およびCV数上位のクエリ
  • ② 地名を含む語句と含まない語句を分類し、クリック数とコンバージョン数の合計に占める比率を算出し表形式で作成
  • ③ 大学名を含む語句と含まない語句で②と同じものを作成

次回への示唆

  • ④ 次回も出稿すべき語句
  • ⑤ やめた方が良い語句
  • ⑥ 新しくチャレンジした方が良い語句

②③については、データを目視確認した段階で分析観点として注目していました。クエリ数としては一定数ありそうだが、実際にクリックされているのか?CVに繋がっているのか?具体的な大学名で検索してきたユーザーが合同説明会に誘導された際、(対象大学に入っているとはいえ)CV効率は他のクエリと比較して良いのか、悪いのか?という観点です。

とはいえ、多岐に渡る地名や大学名を目視確認で分類するのはかなりの手間がかかります。AIが正確に分類してくれるとすると、その後の示唆出しに時間を使うことができ、業務効率の面でもクライアントに提出するレポート精度の面でもぐっと向上が見込めます。

なお、今回は以下のツールを使って結果を比べてみます。

  • Genspark Agents(以降Gensparkで表記):
    チャットボット機能に加え、動画生成やAIスライド作成なども可能。複雑な情報を整理・提供する能力に優れていると言われている。
  • Gemini
    言わずと知れたGoogleが提供するチャットボット。今回は2.5を使用。

実際に使ったプロンプト

あなたは優秀なマーケティングアナリストです。
添付はGoogle検索広告で配信した語句別の結果です。
データを読み込み、以下の観点で分析した上で次回への示唆出しをしてください。

##前提
・広告主は(クライアント名)です
・広告の内容は〇月〇日に開催した合同大学説明会イベントです
・ターゲットは大学進学を考えている高校生と保護者です
・広告のLPは(誘導先URL)です

##分析観点
・全体傾向
-コンバージョン数において上位10の語句とその数値を表形式で作成
-クリック数において上位10の語句とその数値を表形式で作成

・語句のカテゴリ別の傾向
-地名を含む語句と含まない語句を分類し、それぞれのクリック数とコンバージョン数が合計に占める比率を算出し表形式で作成
-大学名を含む語句と含まない語句を分類し、それぞれのクリック数とコンバージョン数が合計に占める比率を算出し表形式で作成

・次回への示唆
-次回も出稿すべき語句
-やめた方が良い語句
-新しくチャレンジした方が良い語句

分析結果 Gemini/Gensparkの比較

おおまかな所感としては以下の通りでした。

Genspark

  • 提示したクエリの分類精度(上位クエリの抽出や地域掛け合わせ等の分類)はほぼ正確
  • 具体的な数値等で根拠を示しながら細やかに分析結果を回答してくれた(図1)
  • 次回に向けたアイディアについても妥当と感じる案を提示
  • データ分析については普段ChatGPTやGeminiを使ったチャットボットとのやり取りと比較し結構時間がかかった印象。正確に測ってないが、2~3分ほど要した記憶
  • 無料で使う場合は1日に使えるクレジット上限あり

図1. Gensparkの分析結果 ※具体的なクエリはマスクしています
Gensparkの広告クエリ分析結果

Gemini

  • データ分析結果として初手から誤った結果が表示される。(どう見ても配信されていない語句がクリック/CV数上位語句に表記されている)
  • 問い詰めると「アップロードされたデータへのアクセスにエラーが生じたためデータに基づく分析ができなかった」旨の回答
  • その割に、明らかに誤っていた箇所もありつつだがそれ以外の分析・示唆の方向性はおおむねGensparkと同じ結論
  • 回答にかかった時間は短く1分未満で完了

Gensparkについてはこの時に始めて使ってみたこともあり、精度の正確さ、示唆出しの的確さに感動しました。

さらに「地名を含む語句 vs 含まない語句」の分析結果にCVRの比較追加をお願いしましたが、残念ながらここで無料プランの1日の上限クレジットを超えてしまいました。有料プランに課金しない場合でも翌日にはリセットされるので、時間に余裕があれば更なる深堀りも可能です。

Geminiについてはデータから不要な情報を削除したり、ファイル名やシート名から記号を削除するなどしてみましたが「データが読み込めないのでテキストを貼り付けてくれ」の1点張りでした。データが重いのか?とも考えましたが、アップロードできる1つのファイルサイズ上限は100MBらしいものの、今回アップロードしたファイルは577KB。

Genspark、Geminiとも、最も気になっていた「地名および大学名を含む語句は効果が高いのか?」の問題については、いずれも「効率が悪いのでやめた方がいい」という結論でした。ただ、Geminiについては具体的なデータを参照していないことから、根拠なく推論で回答したものの、たまたまGensparkの回答と一致していたのかもしれません。

まとめ

数値データの分析という点では、今回はGensparkに軍配が上がる結果になったと感じました。今回はAIチャット機能の使用でしたが、他にも分析・調査結果をスライドにまとめてくれる機能など、デジタルマーケティング業務の効率化を手助けしてくれる機能に優れています。

今回は「データ分析」という観点の比較で上記のような結果になりましたが、Geminiの学習・回答精度の進化は目覚ましく、これからもしっかりキャッチアップ・活用していきたいツールと考えています。

目的に合わせた適切なツールを使い分け、これからもクライアントの利益向上の一助にしてまいります。

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