こんにちは。プリンシプルのプロジェクトマネージャー、海川です。

私たちプリンシプルは、日々多くの企業様からデジタルマーケティングに関するご相談をいただいております。その最初の接点となるのが、提案依頼書、すなわちRFP(Request for Proposal)です。

優れたRFPは、良い代理店とのパートナーシップと事業成果への最短ルートを拓きます。一方で、少し惜しいRFPは、コンペ提案のミスマッチを招き、プロジェクトの成功確率を大きく下げてしまう可能性を秘めています。

「意図を汲んだコンペ提案が出てこない」
「どの会社も同じようなコンペ提案で決め手に欠ける」

そう感じられたご経験がある企業の担当者も多いのではないのでしょうか。その原因はRFPの書き方以前の、「戦略設計」にあるのかもしれません。

本記事では、数多くのRFPを拝見してきたデジタルマーケティングのコンサルタントとして、事業成果を最大化するための「戦略的RFP」の作り方について、特に重要な「事前準備」に焦点をあてて解説します。

なぜ今、「戦略的RFP」が不可欠なのか?

デジタルマーケティングの施策は、SEO、広告運用、SNS、MA導入など、多岐にわたります。多くの企業様がやりがちなのが、「とにかくSEOに強い会社」「広告運用が得意な会社」といったように、施策(How)から代理店を探してしまうケースです。

しかし本当に重要なのは、「事業目標を達成するために、どのような戦略を描き、最適な施策を選択・実行するか」だと考えてます。

この戦略部分が曖昧なまま作成されたRFPは、どうしても与件がふわっとしてしまい、結果として代理店からのコンペ提案も的を射たものになりにくいのです。

惜しいと感じるRFPの3つの共通点

これまで拝見してきた中で、成果に結びつきにくいRFPにはいくつかの共通点があります。ここではその共通点を3つご紹介します。

これらは決して「悪いRFP」というわけではありません。むしろ、真剣に課題解決に取り組もうとされているからこそ、陥りがちなポイントと言えます。

共通点1. 目的が「KGI」ではなく「KPI」になっている

▽惜しい例:
「オウンドメディアのPV数を月間10万から20万にしたい」「指名検索キーワードで1位を獲得したい」

PV数や検索順位は、あくまでKPIです。私たちが本当に知りたいのは、その先に「どのような事業インパクト(KGI)を期待しているのか」ということです。

「PVを倍増させてそこからの問い合わせ数を1.5倍にし、最終的に新規契約〇〇件の獲得に繋げたい」といった、事業全体の目標と紐づけていただくことで、私たちはより本質的なコンペ提案が可能になります。

共通点2. 「現状」の共有がデータではなく“所感”に留まっている

▽惜しい例:
「最近、競合A社がWebに力を入れているようで脅威に感じている」「若年層の獲得が弱い気がする」

所感や仮説はもちろん重要ですが、それらを裏付ける客観的なデータ(アクセス解析、顧客データ、市場調査データなど)がなければ、提案の精度は上がりません。現状の課題を数値で共有いただくことで、「なぜその課題が発生しているのか」という根本原因の分析からご支援できます。

共有可能な範囲で構いませんので、具体的なデータを添えていただくことが、的確なコンペ提案への近道です。

共通点3. 依頼範囲が「施策単位」で限定されすぎている

▽惜しい例:
「SEOの内部対策だけをお願いしたい」「Meta広告の運用代行のみ依頼したい」

事業成果の最大化という視点に立つと、課題は必ずしも1つの施策だけで解決できるとは限りません。例えば、SEOの課題だと思っていたものが、実はサイトのUI/UXやそもそもターゲット設定に問題があった、というケースは非常に多くみられます。

もちろん、ご予算や社内リソースの都合があることは重々承知しております。しかし、「最終的なゴールは〇〇です。その達成のために、まずはこの範囲で提案してほしい」という形で、プロジェクトの全体像と今回のスコープ(依頼範囲)をセットでご提示いただくと、私たちはより大局的な視点から最適なコンペ提案を組み立てることができます。

成果を最大化する「戦略的RFP」を作成する5つのステップ

どうすれば事業成果に繋がる「戦略的RFP」を作成できるのでしょうか。私たちは、以下の5つのステップが重要だと考えています。

特に、最初の「ステップ0」こそが、プロジェクトの成否を分ける最も重要なポイントと考えてます。

【ステップ0】 戦略の解像度を上げる(RFP作成前の準備)

ここが最も重要な工程で、優れたRFPはこの準備段階の深さで決まると言っても過言ではありません。

―①現状の客観的把握(サイト概況調査)

まず、思い込みや所感を排し、客観的なデータに基づいて自社の現在地を正確に把握します 。GA4などのアクセス解析データを用いて、「どの流入経路から」「どのようなユーザーが来て」「どのページで離脱しているのか」といったサイトのパフォーマンスを可視化し、課題の当たりをつけます 。

―②顧客の具体化(ターゲットユーザー・カスタマージャーニー可視化)

次に、データとヒアリングを基に、貴社の顧客像を具体的に描き出します。その顧客が商品を認知し、比較検討を経て購入、さらには優良顧客になっていくまでの一連の体験(カスタマージャーニー)を可視化することで 、各顧客接点(タッチポイント)で何をすべきかが見えてきます。

―③ゴールの設定(KGI・KPI設計)

①と②の分析を踏まえ、事業目標に直結する最終ゴール(KGI)と、それを達成するための中間指標(KPI)をツリー構造で具体的に設計します 。例えば、「売上」というKGIは「ユーザー数 × 購入率 × LTV」といった要素に分解できます。このKPIツリーがあることで、取り組むべき施策の優先順位が明確になります。

この「ステップ0」を丁寧に行うことで、RFPに記載する「背景・目的・課題」の解像度が飛躍的に高まります。

プリンシプルの「GA4活用設計」(戦略的RFP作成に向けて)

ここまで戦略の重要性をお伝えしてきましたが、「具体的に何から手をつければ、、」「社内だけでは客観的な分析やKPI設計が難しい」と感じられる担当者も少なくないかと思います。

そのような企業様のために、私たちプリンシプルでは、RFP作成の成功を左右する「ステップ0の戦略の解像度を上げる」工程を支援するサービスである「GA4活用設計」をご提供しています。このサービスは、まさにGA4を自社のマーケティング改善に生かしていくうえで取り組むべき「最初のステップ」となります。

「GA4活用設計」でご提供する内容

プリンシプルの「GA4活用設計」では、以下の内容をご提供します。

①サイト概況調査:
専門家の視点から定量・定性双方のアプローチでGA4データを分析し、貴社サイトの現状を客観的に把握します。

②ターゲットユーザー・カスタマージャーニー可視化:
サイト概況調査を基に、ターゲットのユーザー像やカスタマージャーニーを一元的に可視化します。ユーザー体験を最適化する観点で現状を整理し、KPI設計の裏付けとします。

③KPI設計:
理想のジャーニーから逆算し、GA4で本当に追いかけるべき指標をご提示します。

④レポーティング設計:
定期的に追いかけるべきレポーティング項目や分析事項をリスト化します。最終的にはGA4データ定義へ落とし込みます。

このプロセスを経ることで、本記事で解説した「戦略的RFP」の根幹が固まり、代理店から事業成果に繋がる精度の高いコンペ提案を引き出すことが可能になります。

最後に

この記事では、事業成果を最大化するための「戦略的RFP」の作り方について、特に重要な「事前準備」に焦点をあてて解説しました。

「何から注力すれば良いか分からない」「追うべき指標が明確でない」といったお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度ご相談ください。貴社のデジタルマーケティングにおける「注力すべき方向性」を明確にさせるだけでなく、戦略から施策実行まで一気通貫したご支援をいたします。

RFP作成の前段階から、デジタルマーケティング戦略を一緒に考えませんか?

関連記事:GA4活用設計とは?具体事例をご紹介!
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海川大翼

広告コンサルタント。WEB広告のコンサルティング会社を経て、2020年9月にプリンシプルに入社。

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