ここ数か月で、弊社お客様から「顧客理解をより深めるための調査をしたい」というご相談が増えています。顧客調査において、マクロ×ミクロの双方の観点で顧客理解を深めていくことが重要になってきます。

マクロの観点だと、セグメントごとの傾向を比較していく方法が、全体傾向の把握には有効です。例えばウェブサイトの分析であれば、「流入経路ごとのCVR」、「ユーザー属性ごとの購入商品」を調査します。

一方で、より深く顧客心理を理解するためには、さらにミクロの観点で1人ひとりに寄り添った調査が欠かせません。

ミクロ観点の調査としては、顧客に直接対面して深く話を聞いていく1on1インタビューや、ユーザーごとの個票データの分析が挙げられます。

今回は、弊社の顧客調査の進め方についてご紹介します。

全体の流れ

顧客調査は、下記のような流れで進めます。

1.一次調査、顧客構造の可視化(マクロ視点)

  • CRM分析
  • Google Surveyオンラインアンケート調査
  • 顧客構造の可視化

2.顧客理解深耕(ミクロ視点)

  • オンラインインタビュー調査
  • 個票データ分析

3.ジャーニーマップ作成

  • ジャーニーマップ作成
  • コミュニケーションアイデアの抽出

4.仮説検証テスト

  • ABテスト

大きくは、1の調査で先のマクロ観点で顧客構造を把握し、2のミクロ観点の調査で顧客1人ひとりの理解を深めていきます。

そのうえで、ジャーニーマップ、コミュニケーションアイディアに落とし込み、また4.でコミュニケーションアイデアのコンセプトを検証していきます。

各ステップについて順にご紹介していきます。

1. 一次調査、顧客構造の可視化

まず、一次調査としてマクロ視点のデータを集め、顧客構造を可視化します。

1.1 CRM分析

CRMデータをもとに、現状のKGI/KPIツリーを見える化し、ボトルネックや伸びしろの当たりをつけていきます。これにより、「初回購入後の2回目引き上げ率が低い」、「一人あたりの購入単価を上げるべき」などの課題が見つかります。

また、RFM分析、顧客グレード分析を行い、直近のR(直近購買日)、F(購買頻度)、M(購買金額別)の顧客分布を把握し、顧客を優良顧客、安定顧客、初期顧客等、顧客グレード定義を決めて分類します。

1.2 Google Surveyオンラインアンケート調査

GoogleSurveyによるオンラインアンケート調査を実施し、下記のような質問を行います。

[質問項目]

顧客構造を把握するためのセグメンテーションの質問例

  • 〇〇保有経験有無
  • 〇〇認知有無
  • ブランド選考(今後の〇〇利用意向)

ユーザー傾向把握の質問

  • 利用目的
  • 利用頻度
  • 保有世帯の世帯構成
  • 利用者、購入の意思決定者

回答者付帯情報

  • 性別/年齢(Googleによる推定値)
  • 地域(ユーザーのIPアドレスを元に特定)

(*) GoogleSurveyでは各回答者ごとにウェブ閲覧傾向から推定される上記回答者付帯情報が取得可能

CRM分析に加えて、GoogleSurveyのアンケートを行うことで、以下のようなことが可能です。

  • まだ顧客化していない潜在顧客のボリュームや認知有無が把握できる
  • 既存顧客が今後サービスを継続する意向があるかを把握できる
  • 自社だけではなく、競合の顧客への調査もできる

1.3 顧客構造の可視化

CRM分析、GoogleSurvey調査を踏まえて、未認知顧客~ロイヤル顧客の顧客構造や各セグメントのボリュームや売上貢献比率を可視化します。

また各セグメントの性別/年齢、地域、利用目的等のユーザー傾向を整理します。

2.顧客理解深耕

マクロ視点での調査が完了したら、ミクロ視点で顧客を深堀りしていきます。

2.1 オンラインインタビュー調査

既存顧客に対して、Zoom等を利用したオンラインインタビュー調査を実施し、1人ひとりにじっくりと話を聞いていきます。

[質問項目(想定)]

  • 認知~ロイヤル化までの態度変容契機、シチュエーション、特定の情報認知
  • 継続意向、理由
  • 〇〇の利用実態、満足度
  • 競合製品への認識(ブリジストン、パナソニック想定)
  • 好きな点、嫌いな点

対象人数としては、1. で定義した顧客構造で、各セグメント5名程度を抽出します。ここで重要なのは、1人ひとりの顧客に寄り添ってじっくり話を聞くことなので、たくさんの顧客に話を聞く必要はありません。

2.2 CRM×GoogleAnalytics統合分析

CRM分析で作った優良顧客セグメントについて逆引きしてウェブ上での行動も見ることで、さらに顧客像やウェブ接点のシチュエーションや利用ニーズを具体化していきます。

CRM×GA統合分析にあたって、GAの追加設定が必要となります。

具体的には、GAのカスタムディメンションへ会員IDと、ClientID(GA上でのユーザー固有のID)、Timestampの格納を行います。

そうすると、GAから自社会員IDごとのユーザー行動の明細データが取得できるようになります。そのデータと、CRMデータを会員IDをキーに統合することで、CRMデータにGAのウェブ行動データを付与した統合データが完成します。

CRM×GA統合データを利用して、CRMで特定された優良顧客に絞って、逆引きしてサイト利用状況の分析を行っていきます。弊社ではBIツールにCRMデータとGAデータを取り込んで分析を行っています。

  • 優良顧客のカスタマージャーニー(認知獲得~初回購入~F2転換~優良顧客化までの態度変容契機など)
  • 優良顧客のウェブ接点分析(優良顧客の日々のウェブの利用状況)

上記のような観点でユーザー行動を深堀っていき、サイト利用シーンや来訪タイミング、ニーズを具体化していきます。

3.ジャーニーマップ作成

マクロ×ミクロ観点での顧客調査結果を踏まえて、潜在顧客がロイヤル化するまでのジャーニーマップを作成します。これにより、各フェーズ上でのユーザーの状況、行動、思考や、態度変容の契機を整理します。

ジャーニー上の各フェーズの顧客に対する、コミュニケーションアイディアを考え訴求軸のアイディアや期待する認知変化についてもマップ上に記載していきましょう。

4.仮説検証テスト

ジャーニーマップとコミュニケーションアイディアが整理できたら、可能であればコミュニケーションアイディアについて、定量的な仮説検証テストを行うとよいでしょう。

実施方法としてはいくつかありますが、ここではABテストについてご紹介します。

ABテスト

訴求軸の検証には、ABテストがおすすめです。弊社ではGoogleOptimizeを使用してABテストを実施することが多くなっています。

「実際にこのようなフェーズのユーザーにこんな訴求をしたらどうか?」といったアイディアを、クリエイティブに落とし込み、実際に定量的に比較することで、アイディアが実際に効果があるのかを検証したり、実際に投資する前に施策効果のシミュレーションを行うことができます。

最後に

今回はマクロ×ミクロ観点での顧客調査についてご紹介させていただきました。

ポイントはセグメント分析にとどまらず、一人ひとりの行動や声にじっくり向き合うこと。1人ひとりの顧客をしっかり理解することで、顧客のリアルなニーズやシチュエーションなどに基づいた、ジャーニー設計、コミュニケーションアイディアにつながります。

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村松沙和子

2014年より株式会社プリンシプルに在席し、BtoB、BtoC 合わせて100社以上の解析プロジェクトを経験。Googleアナリティクス、CRMデータなどの定量分析に加え、ユーザーテストなどの定性調査を組み合わせて現状課題を分析、クライアントのマーケティング改善提案、施策実行の伴走を行う。

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