株式会社プリンシプルでは、2026年に自社サイトをフルリニューアルしました。現時点では、リニューアル後のお問い合わせ数は好調に推移しており、過去最多水準を記録しています。月によっては、リニューアル前と比較して3倍の問い合わせ数となるケースも出ています。
ただし、今回の成果は「サイトを新しくしたから自然に出たもの」ではありません。
リニューアル前のリニューアル方針策定(課題特定・改善の方向性の提示)、制作会社選定、社内の合意形成、公開直前のチェック、公開後の月次改善まで、プロジェクト全体を通じて多くの意思決定と試行錯誤がありました。
本連載「自社サイトリニューアルのリアル」では、プリンシプルが実施した自社サイトリニューアルを題材に、プロジェクト統括、SEO/LLMO、GA4/GTM、UI/UXの各観点から、リニューアルの裏側を全4回でご紹介します。
連載記事一覧
- 第1回:CV数1.7倍を実現したプロジェクトの裏側
- 第2回:守りと攻めのSEO/LLMO設計
- 第3回:成果を見るためのGA4/GTM計測設計 ★近日公開
- 第4回:お客様に選ばれるサイトを目指したUI/UX改善の進め方 ★近日公開
第1回となる本記事では、プロジェクト全体・PM観点から、リニューアルを成果につなげるために何を考え、どこで苦労し、公開後どのように改善を続けているのかをお伝えします。
成果につながるリニューアルを目指して
リニューアルの背景と課題
プリンシプルは、デジタルマーケティング専門企業として高度な専門性を有しており、顧客のビジネス成長に寄り添った支援を特徴としています。しかしホームページでは、そのブランドイメージを十分に発信できていないと感じていました。
プリンシプルは、Web解析、GA4導入支援、SEO、広告運用、BIダッシュボード構築、DX人材育成など、デジタルマーケティング領域において事業領域を広げてきました。そのため、次のような課題が生まれていました。
- どのサービスを見ればよいか分かりづらい
- 自社の課題に合う支援内容を探しにくい
- プリンシプルの強みが直感的に伝わりにくい
- サービスの利用検討に必要なコンテンツが不足している
- 問い合わせや資料ダウンロードまでの導線が分かりにくい
そこで今回のリニューアルでは、ブランドイメージを十分に発信できるデザインにし、ユーザーが必要な情報に素早くたどり着き、プリンシプルの支援内容を理解し、相談や資料ダウンロードにつながりやすいサイトにすることを目指しました。
リニューアルで目指した3つの改善
リニューアルで重点的に改善を目指したポイントは、以下の3点です。
1. 「プリンシプルらしさ」が伝わるようデザインを刷新
自社の特徴や他社との差別化要素がひと目で伝わるよう、全体のトーンとマナーや、ファーストビューのデザインや、コピーを見直しました。
2. スムーズに情報収集ができるよう検索性を強化
トップページを含む各ページのレイアウト、グローバルナビゲーションの構成、キーワード検索の機能や位置、各ページへの導線を見直し、必要な情報にたどり着きやすい構成にしました。
3. カスタマージャーニーに沿ったコンテンツを提供
顧客のペルソナとカスタマージャーニーを設計し、必要なコンテンツを洗い出しました。特に、サービス内容や自社の強みに関わるコンテンツを補強しました。
また、従来のホワイトペーパーに加え、セミナー動画やサービス資料を追加し、検討段階のユーザーが情報収集しやすい環境を整えました。
成果につながる土台は、リニューアル前に決まる
「何を変えるか」を明確にした
リニューアルを進める上で重要なのは、サイトの課題を特定と改善の方向性を検討し、リニューアル要件を定義する「リニューアルの方針策定」の部分です。
プリンシプルでは、解析コンサルタントとSEOコンサルタントが連携して、サイトリニューアル支援サービスを提供しています。今回のサイトリニューアルでは、そのコンサルティング手法を活用し、これまでの支援経験から得た知見をもとに、サイトの課題を特定し、改善の方向性を明確にしました。
・サイトリニューアル支援サービス(SEO×UX改善)とは、アクセス分析、競合調査、ユーザビリティ調査などの定量・定性調査をもとにサイトのリニューアル戦略の策定を支援し、開発から公開後の検証まで支援するサービスです。詳細はこちら サイトリニューアル支援サービス(SEO×UX改善)
RFPで制作会社との認識を揃えた
次に、調査結果をもとにリニューアル提案依頼書(RFP)を作成しました。RFPには、制作会社とのリニューアルの方向性がブレることとないように、特に以下の点に注意しました。
- リニューアル方針:リニューアル目的、サイトの課題、改善の方向性、KPI
- サイトと自社の情報:訪問者データ、競合・ベンチマークサイト
- 期待する作業:開発ツール、開発の範囲
- システム・インフラ要件:開発環境
- 品質・検証要件:公開前の検証環境
RFPの作成には、サイトリニューアル支援の経験があり、かつ、サイト開発にも詳しいメンバーが参加したので、約3週間程度で完成しました。
プロジェクト成功の鍵は「判断基準」を共有すること
制作会社選定は「デザイン」より「課題解決力」を重視
今回のリニューアルで特に難しかったことの一つが、制作会社の選定です。
制作会社選定において重要なのは、単に見た目の好みで選ぶことではありません。自社の課題、目的、リニューアル後に実現したい状態に対して、どの会社が最も適しているかを見極めることです。
デザイン力、実装力、プロジェクト推進力、SEOへの理解、コミュニケーションのしやすさなど、さまざまな観点を評価項目として設定しておいたものの、プロジェクトメンバー内でも、重視するポイントは必ずしも同じではありませんでした。
「デザインの印象を重視したい」
「SEOやコンテンツ構造への理解を重視したい」
「コミュニケーション面や進行管理の安定感を重視したい」
というように、メンバー間で意見が分かれる場面もありました。
中でも難しかったのは、「見た目の印象」と「成果につながる構造」のバランスです。
リニューアルである以上、デザインの刷新は大切な要素です。一方で、BtoBサイトでは、見た目が良いだけでは成果につながりません。サービスの違いが分かるか。導線が分かりやすいか。資料や問い合わせにつながるか。SEO上のリスクを抑えられるか。公開後に改善しやすいか。
最終的には、事前調査で明らかになった自社サイトの課題に立ち返り、「今回のリニューアルで最も解決すべきことは何か」を基準に判断しました。
制作会社選定では、単に見た目の好みで選ぶのではなく、自社の課題、目的、リニューアル後に実現したい状態に対して、どの会社が最も適しているかを見極めることが重要だといえます。
社内調整では「好み」ではなく「ユーザー視点」で判断
リニューアル中は、社内確認の進め方にも難しさがありました。
Webサイトは、マーケティング部門だけのものではありません。営業、コンサルティング、採用、経営層など、さまざまな部門が関係します。
今回のプロジェクトでは、社内確認の対象者10名程度。確認したページや画面は、トップページ、サービス一覧、主要サービスページ、資料一覧、コラム、問い合わせフォームなどを含め、合計で50ページ以上に及びました。
特にデザイン決定には、想像以上に時間がかかりました。
「もう少しシンプルにしたい」
「情報量が少なく見える」
「逆に詰め込みすぎではないか」
「トップページでどこまでサービスを見せるべきか」
「プリンシプルらしさが伝わっているか」
このように、さまざまな意見が出ました。
そこで、できるだけ「好み」ではなく、「ユーザーが迷わず情報にたどり着けるか」「サービスの価値が伝わるか」「問い合わせや資料ダウンロードにつながる導線になっているか」という基準に立ち返るようにしました。
また、社内からの指摘は、すべてを公開前に反映するのではなく、以下のように整理しました。
- すぐに反映すべき重大な指摘
- 公開前に対応すべき改善点
- 公開後の改善テーマとして扱うもの
- 今回は見送るもの
リニューアルでは、完璧を目指しすぎると公開が遅れます。一方で、確認を飛ばすと、公開後に大きな手戻りが発生します。
どこまでを公開前に対応し、どこからを公開後改善に回すのか。この線引きも、PM観点では重要でした。
「成果を測れる状態」を整える
GTM・GA4の計測環境を整理
GTMを整理しないと成果が正しく計測できません。リニューアルは、計測環境を見直す絶好のタイミングです。
リニューアル前のGTMには、過去の施策や複数担当者によって追加されたタグが残っていました。広告タグ、GA4イベント、外部ツールのタグ、過去に使っていた計測タグなどが混在しており、どのタグが現在も必要なのかを一つひとつ確認する必要がありました。
GTMの整理を後回しにすると、公開後に次のような問題が起きる可能性があります。
- 問い合わせ完了が計測できていない
- 資料ダウンロードが二重計測されている
- 古いタグが残っている
- 新しいURL構造にイベント条件が対応していない
- 成果が増えたのに、どの導線が効いたのか分からない
今回のプロジェクトでも、単にサイトを公開するのではなく、公開後に成果を検証できる状態をつくることを重視しました。また、今後のGTMの管理体制を見直すこともできました。
公開前チェックで「正しく成果が測れる状態」を作る
公開直前には、表示、導線、SEO、計測の観点からチェックを行いました。
主に確認したのは、以下の項目です。
- 主要ページの表示崩れがないか
- リンク切れがないか
- 問い合わせフォームが正しく動作するか
- 資料ダウンロードが正しく完了するか
- GA4/GTMの計測が正しく動いているか
- SEO上重要な設定に漏れがないか
- 旧URLから新URLへのリダイレクトが適切か
- スマートフォン表示で大きな崩れがないか
- CTAボタンが意図したページへ遷移するか
公開直前は、どうしてもスケジュールに追われがちです。だからこそ、「公開日に間に合わせる」だけでなく、「公開後に正しく成果を検証できる状態で出す」ことを重視しました。
公開後も改善を続けることで成果につながる
問い合わせ数はリニューアル前の1.7倍に
リニューアル後、現時点ではお問い合わせ数が好調に推移しています。リニューアル後3ヶ月のお問い合わせ数は、前年同時期の1.7倍を記録しました。
また、問い合わせ以外の中間CVにも変化が見られています。
- エンゲージメント率 18.1%改善
- 一人当たりの平均エンゲージメント時間 29.5%伸長
- セッションあたりのビュー数 21.0%増加
もちろん、これらの成果がすべてリニューアルだけによるものとは限りません。セミナー、メルマガ、広告、SEOコンテンツ、営業活動など、複数の施策が並行して動いています。
だからこそ、単に「問い合わせが増えた」という結果だけを見るのではなく、どのページ・どの導線・どのコンテンツが成果に貢献しているのかを継続的に確認する必要があります。
月次改善でサイトを育て続ける
今回のリニューアルでは、公開後もプロジェクトを終わらせていません。
現在も、月次でプロジェクトメンバー全員が集まり、数値や改善状況を確認しています。
月次MTGでは、主に以下のような観点を確認しています。
- 問い合わせ数
- サービス資料・会社説明資料ダウンロード数
- お役立ち資料ダウンロード数
- 主要サービスページの閲覧数
- フォーム到達数・完了率
- CTAクリック数
- 自然検索流入数
- コラム経由の流入数
- SEO上の順位変動
- LLMO観点での自社露出状況
- サイト内検索数・キーワード
リニューアルによってサイト構造や導線が整ったことで、今後はさらにコンテンツを拡充し、流入を増やし、SEOやLLMOの観点でもサイトを育てていくフェーズに入っています。
リニューアルは、公開がゴールではありません。
公開後に数字を見ながら改善し続けることで、はじめて成果につながります。
リニューアル成功のポイント
今回の自社サイトリニューアルでは、公開後のお問い合わせ数が過去最多水準となり、月によってはリニューアル前の約3倍の問い合わせ数を記録しています。
その背景には、リニューアル前のリニューアル方針の策定、制作会社選定、社内合意形成、GTM整理、SEO確認、公開後の月次改善など、地道なプロセスがありました。
これらの経験から、リニューアルを成果につなげるためには、以下の点が重要だと感じています。
リニューアル前の設計に十分時間をかける
- リニューアル前に課題を特定し、リニューアル方針を策定する
- 制作会社選定では、見た目だけでなく課題解決力を見る
判断基準を「ユーザー視点」で統一する
- 社内確認の範囲と判断基準を設計する
- デザイン判断は好みではなく、ユーザー課題に立ち返る
公開後の改善まで含めて計画する
- GTMやGA4の計測設計を早い段階で見直す
- SEO上のリスクを公開前に確認する
- 公開後も月次で成果検証と改善を続ける
まとめ
この記事では、プリンシプルの自社サイトリニューアルを事例に、成果につなげるためのプロジェクトの進め方と、その裏側をご紹介しました。
リニューアルは、サイトを公開して終わりではありません。事前の課題整理から公開後の改善までを一つのプロジェクトとして捉え、継続的に成果を検証・改善していくことが重要です。
次回は、SEO/LLMO観点から、リニューアル時に検索流入を守りながら、AIにも選ばれるサイトを目指して実施した取り組みを紹介します。
→ 第2回:守りと攻めのSEO/LLMO設計
連載記事一覧
- 第1回:CV数1.7倍を実現したプロジェクトの裏側
- 第2回:守りと攻めのSEO/LLMO設計
- 第3回:成果を見るためのGA4/GTM計測設計 ★近日公開
- 第4回:お客様に選ばれるサイトを目指したUI/UX改善の進め方 ★近日公開
プリンシプルでは、Webサイトリニューアルにおける事前調査、サイト構造設計、SEO設計、GA4/GTM計測設計、UI/UX改善、公開後の成果検証まで一貫して支援しています。
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