はじめに

SEOコンサルタントの外山です。先日2月26日に、プリンシプルのSEOチームで「どうなる? 2020年のSEO 〜プリンシプルSEOコンサルタントが語る、SEOの現在と今後」というセミナーを開催しました。このセミナーの最後に、「SEOコンサルタントに求められること」というテーマでパネルディスカッションを行ったのですが、登壇した3名(中村、夏井、外山)が、それぞれが大切であると思うものを3つずつあげて討論しました。参加した私自身とても印象的であったので、ここで紹介させていただきます。

それぞれのコンサルタントが重要であるとしてあげた3つのことは、以下となります。

中村:ユーザー理解、技術理解、探究心
夏井:好奇心、巻き込む力、目的意識
外山:根気、持続力、謙虚さ

バックグラウンドが違うコンサルタントそれぞれが、それぞれの経験をもとに導き出した「3つ」ですので、私自身が他のコンサルタントの想いを代弁することはできません。ですのでこのブログでは、私が考える「SEOコンサルタントにとって大切なこと」を、紹介させていただけたらと思います。

SEOコンサルティングとは

SEOコンサルタントにとって大切なこと

上図は、私が考える「SEOコンサルティングの成功のために重要なこと」です。SEOの目的は、ウェブサイトへの流入数の増加であり、ひいては収益や会員登録数など、お客様のビジネスが目標とするもの(=コンバージョン)の増加ですが、それは「改善施策の提案」と「改善施策の実装」というかけ算によって実現すると私は考えます。

「改善施策の提案」には、例えば以下のようなことが必要となります。

  • 現状の問題の正確な把握と分析
  • 網羅的かつ的確な診断
  • 実施施策の冷静かつ客観的な検証
  • 継続的な施策の積み上げ

これらの実現には、Googleの公式情報やオフィスアワーなどの一次情報を継続的に収集するとともに、時には特許論文も読み解くことで、SEOに関する知識を深めることが重要であると考えます。また、TabelauやBigQuery、Search Console APIなど、様々なツールや技術を駆使することも大事です。そうやって、「現状や問題を客観的かつ正確に分析する力」と、その結果から改善のためのアクションを紡ぎ出す「課題提案力」を磨きます。

一方「改善施策の実装」には、以下のようなことが重要となります。

  • 期待効果と実装難易度による優先順位付け
  • 実装者(=お客様社内のエンジニア、外部の制作会社の方)にも分かりやすい実装指示書の作成
  • 丁寧なコミュニケーションの積み重ね(QA対応、実装のお礼を忘れない、など)
  • 適切なフィードバックの提供(実装の際はその後の効果を忘れずに報告、など)

「実装(=現在のウェブサイトの改修)」は、コンサルタントだけでは完遂できず、お客様やエンジニアの方の協力が必要不可欠です。であるからこそ、コンサルタントには「コミュニケーション力」が特に重要となります。

以上まとめますと、SEOコンサルティングの成功のためには、

  • SEOコンサルタントとしての「現状分析力」と「課題提案力」と「コミュニケーション力」を磨く
  • クライアントの協力(=実装)なくしてSEOの成功はありえないことを意識する
  • 実装に必要なら、社内エンジニアや制作会社も味方につける
  • まずは小さな成功から信頼と実績を得て、徐々にできる範囲を拡大する

ことが重要であると、私は考えます。

根気、持続力、謙虚さ

では、「はじめに」で述べた「根気」「持続力」「謙虚さ」と、1で述べたSEOの成功にとって重要なことは、どう関係しているのでしょうか。

我々が直面する問題は、そう簡単に解決するものではありません。例えば「コアアルゴリズムアップデートを境に流入が減少している」という問題があった場合、「アクセス数が減少した時に確認すべきポイントと必要なステップ」のブログ記事でも書きましたが、その原因を把握するためには、様々な角度からの根気強い分析が必要となります。また同様に、原因不明なクロールエラーが大量発生した場合も、「原因不明な「クロールエラー」への対処法」のブログ記事で紹介しているように、アクセスログ(生ログ※)を含む様々なデータ・情報を収集・分析しながら、あの手この手を用いて、持続的に解決策を探っていくことが求められます。

アクセスログ(生ログ)についてはこちらのブログでも紹介しています

話は少しそれますが、誰かが既に発見したり、まとめてくれたりしたことを「勉強する」のは短期間で済むかもしれませんが、誰も見つけていない、まとめてくれていないことを自分で分析して、整理して、「知識」を創り出すには、膨大な時間と労力がかかります。私はそのことを、大学時代に卒業論文や修士論文を執筆する際に実感しました。1,000の知識を学ぶことより、1の知識を創り出す方が、圧倒的に時間と労力がかかります。でも現代の「科学」や「技術」は、先人達のそんな膨大な努力の積み重ねによって築き上げられています。

SEOの世界も同じで、目の前の課題を解決することは、SEOに関する本を読んだりウェブサイトを見たりすることよりも遙かに困難であり、時間がかかるものです。そのために必要なのは、端的に言えば「諦めない心」、すなわち「根気」と「持続力」であると、私は思います。別の言い方をすれば「悩み続けられる力」が、SEOコンサルタントにとって大切であると、私は考えます。

そしてもう1つ重要であると考えるのが「謙虚さ」です。これは言い換えれば、「自分一人の力の限界」を知り、「他者に必要な協力を求める」ということです。目の前の問題を解決するために、自分の力を磨き、諦めない心で挑み続けることはもちろん重要ですが、自分一人の力でできることは限られています。私がクロールエラーで悩んでいたときにそうしたように、思い切ってGoogleのJohn Mueller(ジョン・ミューラー)氏にTwitterで質問してみたり、フォーラムで質問してみたりするのも有効な方法でしょう。社内で、同僚のSEOコンサルタントに相談したり、壁打ちを頼んだりしてみるのももちろん良いと思います。

そしてまた、クライアントであるお客様に協力を求めることも、あってしかるべきだと思います。SEOは実装無くして実現できず、そのような意味でお客様の協力は必要不可欠ですが、それだけでなく、サイトの構造に関する情報や、現状分析のために必要なデータ(生ログなど)の抽出は、お客様でしかできません。現状の問題の解決のために必要な協力を求めることに、躊躇してはいけないと思います。

自分一人の力の限界を正しく理解して、他人に必要な協力を求めることをためらわずに、謙虚に、真摯に、目の前の問題に相対し、根気よく、解決の糸口を持続的に探し続ける。それがきっと、SEOプロジェクトの成功につながり、その積み重ねが、SEOコンサルタントとしての自身の成長に繋がっていくと、私は思います。

さいごに

以上、私が考える「SEOコンサルタントにとって大切なこと」について紹介させていただきました。「はじめに」で述べましたように、これは私が想う大切なことであって、他のコンサルタントには、それぞれが自身の経験から紡ぎ出した「大切なこと」がまた別にあると思います。

そんな、様々なバックグラウンドがもつコンサルタントが集まって、議論して、協力して、SEOという分野で切磋琢磨していくことは、この仕事の醍醐味であると思います。プリンシプルには、多種多様なコンサルタントがそろっています。何か弊社でお役に立てそうなことがございましたら、こちらのお問い合わせ窓口からお気軽にご相談ください。定期的にメルマガも発行していますので、メルマガ登録も是非よろしくお願いします。

また、プリンシプルでは業界最高レベルの専門家として一緒にご活躍いただける方を募集しています。詳しくは採用情報のページをご覧ください。

このブログ記事が、SEOを志す方や、SEOを仕事としている方達の何らかのお役に立てば幸いです。

お気軽にご質問、ご相談ください

関連タグ

外山大

東京大学大学院、修士課程修了。11年間の文部科学省勤務の後、ITベンチャーにてメール配信システムやウェブサイトの開発に従事。

関連ブログ