忠実な顧客基盤を持つ企業はパンデミックの間も好調でした。多くのビジネスリーダーがそれに気づいた結果、多くの企業は顧客との信頼関係を築くために、マーケティングの優先順位を変更しました。

その一環として、企業はカスタマー・エクスペリエンス「CX」の向上に向けた投資に注力しています。


CEOの60%が「CXの向上」を今後3年間のTopプライオリティとして挙げた
(参考:CEOs Prioritize the Customer Experience, but not CMOs – Marketing Charts

このようにCX改善が大事な施策になっている中、具体的に何をすればいいかイメージできない方も多いのではないでしょうか。例を挙げると、パンデミックの中、米国では以下のようなサービスがCXを改善し、より広く採用されるようになりました。

  • カーブスサイドピックアップ(モバイルで注文し、駐車場で商品を受け取ることができる)
  • 様々な専門的サービスでの事前予約、待ち時間ゼロ
  • ビデオ通話による人との出会いや授業

興味深いのは、これが当たり前になり消費者から求められていることです。

この記事では、次世代のウェブ解析ツールとしてプロダクトアナリティクスのニーズから生まれたシリコンバレー発のツールHeapの事例を元に、米国ではCXをどのように改善しているかを紹介したいと思います。

記事の内容

  • 米国マーケティングアナリティクスの現状
  • シリコンバレー発の解析ツールHeap社について
  • Heapを利用した3つのCX改善事例

関連動画もありますのでぜひご覧ください。

米国マーケティングアナリティクスの現状

USにおける従来のウェブ解析ツールの課題

90年代半ば~2000年代初頭では、”営業チーム” がいかにして市場を獲得するかがテック企業の営業戦略でした。また、2000年以降から普及してきているツールは、”ファネルの上流” のパフォーマンス改善を目的としてきた側面があります。

こういった背景の下でいま解析ツールの課題となっているのは、(マーケティングだけでなく)開発現場にも最適化されたツールにはなっていないということです。

現在ではSaaS型の「プロダクト」が一般化し、スマートフォンの爆発的な普及により日常的に利用するアプリケーションが急激に増え始めました。

しかし現状の分析ツールは、従来のマーケティング分析に利用されてきた「ウェブサイト・ブラウザーベース分析」向けのツールがそのまま利用されていることが多く、現状に十分対応できているとはいい難い状況です。

マーケティング新時代に求められる解析・ツール

CX向上に重要なことは、「顧客の真なる理解」と「競合よりも早くスマートな意思決定」です。ここで必要になるのは、解析・判断の高速化です。

また、誰でも使えるツールも求められています。全員が何らかの分析をし、全員でウェブサイトやアプリだけではなく、プロダクトも向上する流れがあるためです。

以上の観点から、マーケティング新時代に求められるコアバリューは、「アプリケーションからすべてのデータに簡単にアクセスでき、何が起こっているのかを素早く評価できるようにすること」だと言えます。

SMART & FAST = 分析ワークフローがキー

企業は消費者の行動やトレンドの変化を追ってはいますが、現在多くのマーケツールはデータ解析に必要なワークフローに適応していません。

従来の方法では手作業が多く、手間がかかるためです。ここで後述のHeapなどのツールで自動化すれば、解析と意思決定の高速化が可能となります。

シリコンバレー発の解析ツールHeapについて

Heap社について

  • データ分析ツールベンダー
  • スタンフォード大学出身で元FacebookプロダクトマネージャーであったCEO Matin Movassate(マティン・モヴァサト)が2013年に創業。
  • Heapが開発した分析ツールは、現在米国で6,000社以上が採用。
  • 企業が提供する”プロダクト” に関するあらゆるユーザアクティビティデータを自動収集。ユーザーをより深く理解し、データに基づいた意思決定を行い、魅力的なデジタル体験を作り上げることを可能にする。
  • シリーズC:$95 M
  • HQ:San Francisco, CA *ニューヨークとロンドンにオフィスを設立
  • 社員数:200名

※2020年5月時点の情報


PrincipleはHeapのソリューション・パートナー

関連:【プレスリリース】データ解析のプリンシプル プロダクト解析の米国Heapと”日本初”業務提携のお知らせ

Heapの主な機能

  • Autocapture:Heapのタグをサイトに導入すると、サイトから得る入力・行動データを自動取得する(アプリの場合SDK)
  • Virtualize:トラッキングされたデータを定義する。導入時までさかのぼって定義を適用できる。
  • Analyze:課題に対して検証したい事、アドホック分析用レポートをするためのデータ作成機能。
  • Heap Connect:Heapで収集したデータを自社のデータウェアハウスに格納。

Heapのようなエンタープライズ向け分析ツールを選ぶ理由

Heapを利用するメリットには以下のようなものがあります。

Heapのメリット

  • 無駄なタグ付けの手間が省ける
  • アナリティクスの使い勝手が向上
  • 組織全体のインサイトを強化できる
  • データウェアハウスとの統合
  • 製品、UX、コンバージョン率が改善する
  • 分析を誰でもできるようにし、チーム間のコラボレーションを簡素化

最も大きなメリットは、簡単に始められてサクサクと動くということでしょう。

Heapを利用した3つのCX改善事例

事例1:米国の金融サービス Northwestern Mutual社

Northwestern Mutual社の概要

  • 1857年設立の金融サービス相互会社
  • 年間299億ドルの収益
  • 投資ポートフォリオの総資産2483億ドル
  • 400万人の契約者のうち、約150万人がモバイルアプリやウェブサイトを利用するアクティブユーザー

HeapでCX最適化した結果

  • サイト内サーチのエラーを40%削減
  • ログイン後、銀行講座と連携のエンゲージメント20%アップ

Northwestern Mutual社では、Cohorts分析や複雑なファネル設計をするため、解析チーム外にHeapを取り入れました。

以前は限られた人数のアナリストが会社全体のデータ解析を担っていましたが、Heap導入した結果、プロダクトチームがデータ解析できるようになりました。それだけでなく、より大きなデータチームのエコシステムにもプラグインできるようになりました。

各チームでは、特定の機能を利用したユーザーの割合を示すレポートを採用し、コホートやリテンション・カーブなど、より洗練された分析を始めました。従来の解析ツールには、Heapほどの緻密さやカスタマイズ性はありませんでした。

事例2:米国不動産テック RedFin社

RedFin社の概要

  • 2006年設立の次世代型 不動産/エージェント仲介会社
  • 年間7.8億ドルの収益
  • 2006年の創業以来、総額1150億ドル以上、23.5万戸以上の住宅の売買を支援

Heapで解析ワークフローを改善した結果

  • 月に2~4週間の作業工数を削減

RedFin社では、エンジニアリングの時間を節約し(製品設計をメインに置き)意思決定を迅速にするためにHeapを導入しました。また、アナリストを雇う必要性をなくすことも動機の一つでした。

過去にはサイトやアプリで計測するイベントを定義することはできましたが、エンジニアリングに時間がかかり、多くの工数が必要でした。インプレッションやクリック以外のことをするには、習得者の限られるSQLスキルが必要だったからです。

また、以前はエージェント用に設計された解析基盤もあれば、マネージャー用に設計された解析基盤もありました。数が多く、お世辞にも使いやすいと言える状況ではありませんでした。

Heapを導入したことでこれらの問題が解決し、ファネル分析やセグメンテーションも活用できるようになりました。その結果、目標としていたエンジニアリング時間の削減に成功し、解析チームはCX向上に貢献する時間も取れるようになりました。

事例3:米国の睡眠グッズ系EC・Casper社

Heap導入と分析による改善結果

  • CVRが20%アップ
  • 商品ページからカートに商品追加する際の郵送情報のクリック率は、購入者のほうが非購入者よりも約5倍も大きい事がわかった。
  • 郵送のオプションを強調するために、CTAを「Ready to Ship」から「Want It Today?」へ変更するテストを行った効果、郵送内容のエンゲージメントは100%以上増加した。

Casper社はカスタマージャーニーの最適化にシフトするためにHeapを導入しました。

これまでの成長努力は、カスタマージャーニーの最適化ではなく、顧客数の増加にのみ焦点を当てていました。当初、セッションやページビューといったデータの解析にはGoogle Analyticsなどのツールを使用していました。

しかし、より詳細なユーザーエンゲージメントを理解しようとしたとき、手動でアナリティクスを実装するには多くのリソースが必要になり、データ迅速に取得きずにいました。

また以前は、アナリティクスの優先順位を下げたり、アナリティクスがサイトチェンジ前に設定されていることを確認するために、デプロイを完全に保留にしたりする必要がありました。

こういった問題がHeapを導入したことで解決し、CVR20%アップという成果に繋がりました。

まとめ

  • コロナ禍で先行き不透明だが、CXへの投資は強化される。そして、より良い顧客体験の提供が優先される。
  • より良い顧客体験を提供するサービスが今後飛躍する(プロダクトとしてのウェブサイト/アプリ制作の成功 = ビジネスの成功であり、ウェブサイトはもはや単なる店舗ではなくプロダクトそのもの)。

また、Heapのツール・CX解析から以下の気付きが得られました。

  • 集客をゴールとするよりも、CX向上を目指したほうがより改善効果の高い課題に取り組める。
  • 分析の効率を改善すると全体的なROIにも影響する。Agilityがキー!
  • ユーザーを理解することは現状においても一筋縄ではないが、ページビューベースからUserベース・Eventベースのツールにシフトすることがブレイクスルーを生むかもしれない。

この記事では、3つの例を取り上げ、米国でCXはどのように改善されているのかをご紹介しました。アメリカでのマーケティング活動の一助となれば幸いです。

プリンシプルはアメリカにもオフィスを持っており、より現地のトレンドに沿った、充実したコンサルティングが可能です。米国でのデジタルマーケティングや広告でお困りの方は、ぜひPrincipleにお問い合わせください。

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Kris Irizawa

Logitechなどのシリコンバレー・スタートアップ企業で9年間マーケティング解析を経験。プリンシプルアメリカの解析ディレクターとしてLA在住。

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