WEB広告運用において、パフォーマンスを正しく把握しその原因を詳細に分析することは、その先の改善施策立案には欠かせません。

「正しく把握」するためにぜひ活用したいのが、TableauやGoogle LookerStudioなどのBIツールです。この記事では、広告コンサルタントとして身につけておきたいBIツールによるパフォーマンス分析について、Tableauを使った実践例を紹介していきます。

WEB広告運用におけるBIツールの役割

「あなたは、ECサイトのWEB広告コンサルタントです。クライアントへWEB広告のパフォーマンス報告資料を提出する必要があります。」そんなミッションに対して、あなたなら最初に何を行いますか?

レポートを作成するにあたり、まず実行するのは、パフォーマンスを評価するためのデータ収集だと思います。正確な現状把握を行うことが、レポート作成の第一歩と筆者は考えます。

TableauやGoogle LookerStudioなどのBIツールが活躍するのが、この正確な現状把握のフェーズです。データを整理しビジュアライズすることで、コンサルタント自身もクライアントも、パフォーマンスの把握が容易になります。

この記事では初級編として、すぐに実践できる広告パフォーマンス分析におけるBIツールTableauの活用例をいくつか上げていきたいと思います。

ケース1:推移と同時に相関性も把握したい

直近13ヶ月間の売上、広告費、ROAS(費用対効果)の推移を報告する場合、それらをどのように提示すれば、クライアントの理解がより深まるでしょうか?

注:この図ではページスペースの関係で6ヶ月までのデータを表示しています。

まずは、収集したデータを横並びにしてみます。確かに毎月の指標は確認できますが、推移となるとパッと見ただけでは把握しにくいですね。

では推移を把握できるよう、各指標をグラフ化してみましょう。

各指標が時系列で把握できるようになりました。しかし、ここで考えていただきたいのが、売上、広告費、ROASには、互いに相関性があるということです。

ECサイトのビジネスゴールは多くの場合、売上とROASの最大化にあります。ROASは以下の計算式で求められます。

ROAS=売上÷コスト(広告費)

この計算式に従えば、売上が上がり広告費が下がるとROASは改善します。さらにいうと、売上が上がっても広告費がそれ以上に上がれば、ROASは悪化します。WEB広告のパフォーマンスを正しく把握するには、各指標の推移を個別に追うだけでなく、相関性を意識しながら推移を追うことが重要です。

そこで活用したいのが、二重軸とバーインバーチャートです。

売上・広告費の「金額軸」と、ROASの「%軸」2軸を1つのグラフに表現し、さらに、売上と広告費を重ねて表現し2つの数値の推移を比較します。こうすることで、2つの指標の相関性と推移を同時に把握することが可能です。

ケース2:どのキャンペーンがCVに貢献しているか知りたい

複数のキャンペーンを運用している場合、広告費の投資先としてそれぞれのキャンペーンのCV貢献度を把握することが重要です。そこでまず、キャンペーンを色別に分けて、月ごとにCVを積み上げた時系列のグラフを用意しました。

確かに、これで全体のCV推移は確認できますし、キャンペーンごとのおおよその貢献度は知ることができますが、一見しただけでは正確な貢献度は把握できません。

そこで件数の積み上げといっしょに、割合の積み上げグラフも作成してみました。

月ごとのCV推移と、そこに占める各キャンペーンのCV割合を同時に見ることで、各月のキャンペーンの貢献度が把握しやすくなります。

ケース3:異常値を把握したい

WEB広告のCVR(コンバージョン率)は日々変化を繰り返します。広告運用者はそれを迅速にキャッチし、状況に応じた改善施策の実施が望まれます。そのためには、CVRに異常値が発生した日を把握し、その日のECサイトの内部施策、外的状況を調査することが必要です。

そこでぜひ活用したいのが、平均線・標準偏差・分布帯をかけ合わせたグラフです。

■標準偏差とは

データのばらつきや分散度を数値で表したものです。データセット内の各データが平均値からどれだけ離れているかを示し、データの散らばり具合を把握するのに役立ちます。標準偏差が小さいほど、データは平均値に近く集まっていると言えます。逆に、標準偏差が大きいほど、データは平均値から遠く離れて散らばっていると言えます。

まず、CVRで日次の折れ線グラフを作成し、Tableauの機能を利用して、グラフ期間中の平均線を追加します。さらに、標準偏差が1の区間内に分布帯(グラフ上のグレー部分)を追加します。こうすることで、標準偏差が1を超える異常値がひと目で確認できるようになります。このグラフを活用すれば、いち早く分析と施策立案へ行動を移すことが可能になります。

まとめ

この記事では、初級編としてすぐに実践したい、TableauによるWEB広告パフォーマンス分析の活用例を3つご紹介しました。WEB広告の基本指標を収集していれば、すぐに活用できるものばかりです。

Tableauダッシュボードを使用すれば、今よりももっともっと深いWEB広告の分析を行うことが可能になります。次回は中級編として、ユーザーの購入行動の可視化をテーマにした実践例をご紹介予定です。

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鈴木夕加里

広告コンサルタント。長年ECサイト運営で培った「徹底したエンドユーザー視点」が強み。

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