ECサイトを運用している方に質問です。今のあなたのサイトはこんな課題に直面していませんか?

  • 割引キャンペーンで既存ユーザーからのリピート購入に頼りがち
  • 指名キーワードの表示回数が年々減少している
  • オーガニック検索からの流入数が減少している

これらに一つでも思い当たる方へ、更に質問です。あなたのサイトの広告はこんな運用をしていませんか?

  • CPC抑制のため、検索広告は指名キーワードが中心
  • 獲得効率重視のため、ディスプレイはリターゲティングに偏重
  • Google スマートショッピングは活用しているけれど、どんなユーザーへ配信しているかわからない

上記が一つでも当てはまる方は、新規ユーザー獲得施策の実施が急務です。なぜなら、新規ユーザーを獲得しない限り、既存ユーザーは減少し続けるからです。

多くのユーザーは生活スタイルや趣味嗜好の変化がつきもので、そんなとき、同じお店をずっと利用し続けることは非常にまれです。広告の獲得効率を重視する余りにファネルの最下部、既存顧客のリピート購入を中心に広告費を投入していると、本来なら広告費をかけて獲得すべき新規ユーザーへの認知拡大が手薄になっています。

新規獲得施策に踏み出せない、その理由

もちろん新規獲得が重要なことは、ECサイト運用担当者が一番理解していることだと思います。しかし、必ずといっていいほど持ち上がる課題は、

  • どんなユーザーをターゲットにすれば良いかわからない。
  • パフォーマンスが落ちるのではないか?

ということです。確かにこれまでの新規獲得施策といえば、CV類似ユーザーなどを活用してディスプレイ広告を配信したり、検索広告で商品と関連する一般キーワードを入札する、といった手法がメインでした。

しかし、この令和の時代では、これまでよりも何歩も進んだターゲティングが可能になりました。「新規獲得施策は必要、でも踏み出せない。」そんなご担当者はぜひこの先も読み進めて、追加施策をご検討ください。

Google スマート ショッピング キャンペーンの新規顧客コンバージョン目標がおすすめ

Googleのスマートショッピングキャンペーン(以下、SSC)で成果を上げているサイトでおすすめなのが、SSCの新規顧客コンバージョン目標です。

この配信ロジックは、新規ユーザーの購入に重み付けを行い、機械学習がその価値を学習して、入札を調整するというものです。

たとえば、仮に、既存ユーザーから250万円、新規は200万円の売上を獲得したとします。そこに、新規にはプラス100万円の重み付けを行ったとすると、既存ユーザーよりも高い300万円の価値があるとして機械学習に認識され、新規ユーザーへ配信が強化されます。

新規顧客コンバージョン目標が新規ユーザー獲得に効く理由

SSCは下記が配信面です。

  • Google 検索ネットワーク
  • ディスプレイ ネットワーク
  • YouTube
  • Gmail

この中から検索ネットワークに絞って「新規顧客コンバージョン目標」のロジックをご説明しましょう。

SSCでは通常、目標ROASや目標CPAに最適化して入札が行われます。そのため、どうしてもROASやCPAが良い既存顧客に配信が偏りがちでした。

仮に、アパレルショップの「プリンシプルストア」が広告配信したとします。その場合、既存ユーザーが検索しがちな「プリンシプルストア Tシャツ」など、ブランド名を含む検索クエリが優先されてショッピング広告で商品表示されることが想定されます。

しかし、「新規顧客コンバージョン目標」で新規ユーザーの購入に重み付けをすれば、「Tシャツ 新作」などで検索する「まだどのブランド、ショップで買うか決めていないけれど、とにかく新作のTシャツが欲しい!」というプリンシプルストア未認知のユーザーへ優先して配信されるようになります。

また、ショッピング広告は検索ネットワークで一般KWを入札した場合と異なり、商品画像や価格、商品説明を明示したフォーマットであるため、クリックするのは高確度ユーザーに絞られます。更に、CVポイントに限りなく近い商品ページがLPとなるため、無駄なコストをかけず、未認知ながら高確度のユーザーを集客することができます。

新規顧客を既存顧客と区別する方法

このSSCの新規顧客コンバージョン目標で新規顧客の識別に利用するシグナルを提供する方法は3つあります。1 つだけ使用することも、すべてを使用することもできます。

Google による検出

内容 Google広告のCVトラッキングで「購入」をトラッキングするように設定している場合、過去540日間のトラッキングデータもとに自動でターゲティングする。
メリット 既存の購入トラッキングのCVタグが実装されていれば即時利用可能なので最も簡単(利用開始時はこれがデフォルト)。
デメリット ユーザーが Cookie を削除したりオプトアウトしたりするケースもあるため、網羅性はやや低い可能性あり。

オーディエンス リストをアップロード

内容 Google広告管理画面へ既存顧客のリストをアップロードし識別。ファイル形式はCSV、Googleスプレッドシート、SFTP、HTTPSが利用可能。
メリット 自動アップロードの仕組みを用意すれば、最新の既存顧客を常に更新できる。
デメリット カスタマーマッチのように、ユーザーのGoogleアカウントのログイン情報とマッチしないと既存顧客として認識されないため、網羅性が低くなる可能性も。

タグを使った新規顧客コンバージョン トラッキング

内容 グローバルサイトタグやGoogleタグマネージャーを利用して新規顧客コンバージョンのトラッキングをタグで設定する。
メリット ファーストパーティーCookieであるグローバルサイトタグを利用することで、新規顧客とリピーターを記録するコンバージョンの種類をより詳細に管理できる。
デメリット 新規ユーザーを区別するパラメータをタグ内に追加する必要あり。これには専門的な知識のあるスタッフの協力が必要。

最もかんたんに導入可能なのが、デフォルトの「Google による検出」です。まず手始めに「Google による検出」で実施スタートし、効果を見極めてから「タグを使った新規顧客コンバージョン トラッキング」へ移行することをおすすめします。

新規ユーザー獲得状況の確認方法

すでにSCCを実施されている方なら、もう確認できるはずです。早速、下記手順で現状を確認してみましょう。

[キャンペーン] タブや [広告グループ] タブの指標データの概要表示

  1. Google 広告にログインします。
  2. 左上にあるキャンペーン メニューの [ショッピング キャンペーン] を選択します。
  3. [キャンペーン] または [広告グループ] をクリックします。
  4. キャンペーン一覧の右上にあるアイコン メニューの [表示項目] をクリックします。
  5. [表示項目を変更] をクリックします。
  6. [コンバージョン] の下矢印をクリックすると、表に追加できるコンバージョン関連の指標の一覧が表示されます。
  7. [新規ユーザー] のチェックボックスをオンにします。
  8. [適用] をクリックします。
  9. 以後、キャンペーンまたは広告グループのデータ表を参照すると、[新規ユーザー] の列が表示されます。

[キャンペーン] タブの指標データの [新規顧客とリピーター] 表示

  1. Google 広告にログインします。
  2. 左上にあるキャンペーン メニューの [ショッピング キャンペーン] を選択します。
  3. [キャンペーン] をクリックします。
  4. キャンペーン一覧の右上にあるアイコン メニューの [分類] をクリックします。
  5. [コンバージョン] をクリックします。
  6. [新規顧客とリピーター] をクリックします。
  7. [コンバージョン] と [コンバージョン値] が顧客の種類別に表示されます。

Google広告ヘルプ「スマート ショッピング キャンペーンの新規顧客コンバージョン目標について」より引用

あなたのサイトの現状はいかがでしたか?「新規顧客コンバージョン目標」のスタート後は、この「新規顧客とリピーター」の結果を時系列で比較し、新規ユーザー獲得の貢献度をチェックしましょう。

もし「新規顧客コンバージョン目標」スタート後も新規ユーザーの獲得が改善していないなら、下記2点のチェックをおすすめします。

チェック1. 商品フィードのタイトルに、潜在層や比較検討層がよく利用するクエリが含まれているか?

そもそも、SSCの効果最大化のためには、商品フィードを十分に最適化する必要があります。せっかく「新規顧客コンバージョン目標」を実施しても、検索結果に商品が表示されなければ意味がありません。商品フィードの最適化については、下記記事をご参照ください。

チェック2. 新規ユーザーの購入に設定した重み付けは適切か?

新規顧客の獲得にどの程度の価値を加えるかを決める際は、顧客の推定ライフタイム バリューを考慮することをおすすめします。

新規顧客コンバージョン目標を選択する際は、デフォルトで指定された推奨値での運用も可能です。ですが、実際の店舗の購入情報を精査し、できるだけ実情に即した値を設定することで、より正確な入札判断が行われるようになります。

たとえば購入1回あたりの平均額が12,000円で、顧客3人中2人が2年間にわたり1年に1回商品を購入することが予想される場合、推奨される新規顧客1人あたりの価値は、12,000 円 × ⅔ × 2= 16,000 円になります。

まとめ

SSCは、ECサイト、特に販売商品数が多数ある場合において、非常に高いパフォーマンスを上げている配信メニューです。その優れたロジックを活用した新規ユーザー獲得施策には大いに期待が持てます。

もしこの記事を読んで「ぜひ実施したいけれど、タグの設置や目標設定、商品フィードの最適化のやり方がわからない」という方は、ぜひ弊社までご相談ください。

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鈴木夕加里

広告コンサルタント。長年ECサイト運営で培った「徹底したエンドユーザー視点」が強み。

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