「GA4のレポートは”ユーザーベース”がメインになった」、、、読者の皆さんがどこかで聞いたことのある、GA4についての特徴だと思います。しかし、その意味を正確に把握している人は少ないように感じています。

筆者としては以下のように考えています。

  • GA4でユーザースコープのディメンション・指標が強化されたことは事実。
  • その目的は「フルファネル戦略」に基づいた施策の立案と、施策の効果測定を行うこと。

さて、そんな背景を持つ(と筆者は考える)GA4では、探索配下でのみ「セグメント」が作成できます。

セグメントは「ユーザー」、「セッション」、「イベント」に基づき作成できますが、GA4の性質に照らすと、その中でも「ユーザーセグメント」が重要になってくると思います。

ユーザーセグメントを作成するときに、おそらく多くの読者の皆さんが混乱するのは、オプションとして「いずれかの時点で」(下図)をチェックするとどのような動作をするのか(言い換えれば、チェックしなければどのような動作をするのか)分からない。ということではないかと思います。

筆者も最初混乱しました。しかし、検証を通じてその挙動を理解しましたので、このブログ記事で紹介致します。

(プログ執筆時点の2021年12月19日現在。今後は変更になる可能性もあります。)

GA4「いずれかの時点で」の挙動の前に

GA4の「いずれかの時点で」の挙動の前に、まず、「ヒット」や「セッション」を「ユーザー」にまとめるときに必要となる考え方を説明します。

ここでは理解を容易にするために、「地域」ディメンションを例にとって説明します(検証も「地域」で行いました)。一人のユーザーが複数の「地域」を持つ場合にどのように処理するか?という話です。

例えば「ある日は本社オフィスのあるTokyoから、また、別のある日には、会社が借りているシェアオフィスのあるOsakaからあるサイトを利用する。」ということは十分にあり得ます。この場合、一人のユーザーが複数の「地域」を持つことになります。

実際に以下のユーザーは、11月1日~9日の間に5セッションを発生させましたが、地域はTokyo、Osaka、Saitamaの3箇所に渡っています。

そうしたデータの状態で「地域に基づいたユーザーセグメント」を設定する場合、そのユーザーにはTokyoも、Osakaも紐付けてしまう。という考え方があります。つまり、「地域がTokyoに等しい」ユーザーセグメントにも「地域がOsakaに等しい」ユーザーセグメントにも含めてしまおうという考え方です。

または、ユーザーに一意の地域を紐付けたい場合もあります。その場合、以下のようないずれかの「決め事」に従って処理を行います。

  • ユーザーが最初に利用した地域を、そのユーザーの地域とする
  • ユーザーが最後に利用した地域を、そのユーザーの地域とする
  • ユーザーが最も頻繁に利用した地域を、そのユーザーの地域とする

そうすれば、ユーザーが複数の地域からサイトを利用した場合でも、地域は必ず一意に定まります。

以上を理解した上で、「いずれかの時点で」オプションの挙動を考えていきます。

GA4「いずれかの時点で」の挙動

GA4でセグメント(「いずれかの時点で」をチェックしたセグメントと、チェックを外したセグメント)を適用したレポートと、BigQueryでのデータを突合しながら検証したところ、以下の挙動で間違いないと思います。

「いずれかの時点で」をチェックしたセグメント:
該当する期間に一度でも条件に合致したユーザーがセグメントに含まれる。

「いずれかの時点で」のチェックを外したセグメント:
該当する期間の最新の記録が条件に合致したユーザーがセグメントに含まれる。

例えば、「地域がTokyoに一致する」という条件でセグメントを作り、探索配下のレポート期間を11月1日~3日とした場合、

  • 11月1日にTokyoからサイト利用
  • 11月3日にKanagawaからサイト利用

というユーザーは、

  • 「いずれかの時点で」をチェックした場合にはセグメントに含まれる。
  • 「いずれかの時点で」のチェックを外した場合にはセグメントに含まれない。

となります。

GA4「いずれかの時点で」の挙動のまとめ

この記事では、GA4でセグメント作成時にオプションとして選択できる「いずれかの時点で」の挙動を簡単に解説しました。

上記を理解すると、以下のような「過去にTokyoからサイト利用したことがあるが、最新のサイト利用はTokyoからではない」のような複雑なセグメントも作成できるようになります。

いずれにしても、仕様をしっかりと理解し、適切なセグメントを適用する必要があります。プリンシプルではGA4に関するセミナーも定期的に実施していますので、ご興味のある方はこちらのGA4ウェビナー関連ページをウォッチしていただければと思います。

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木田和廣

早稲田大学政治経済学部卒。取締役副社長。カスタマーサクセス室室長。チーフ・エバンジェリスト。

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