本記事で触れているGoogleアナリティクスは、ユニバーサルアナリティクス(UA)を前提としています。
GA4を対象とした記事ではございませんので、ご注意ください。

コンテンツアトリビューションとは

Google アナリティクスにおいて「アトリビューション」と言った場合、以下のレポートのように、ユーザーが行った複数回の訪問のチャネル(や、メディア、参照元、キャンペーン)について、どのチャネルがどの程度コンバージョンに貢献したのかを、いくつかのモデルで可視化することを指します。

一方、マーケターとして、「そのような流入方法によるアトリビューションではなく、ユーザーが訪問した際に閲覧したコンテンツがコンバージョンにどのように貢献したのか?」を知りたくなったことはないでしょうか?
例えば、初回訪問でコンテンツA、Bを見たユーザーが再訪問時にコンテンツC、Dを閲覧し、三回目の訪問でコンテンツE、Fを見てコンバージョンした。という形で各コンテンツのコンバージョンへの貢献を可視化できたら、どのコンテンツを強化したらよいか、あるコンテンツを見たユーザーに、次にどのコンテンツを見てもらえばカスタマージャーニーにおいて一歩足を進めてくれるのか?が分かるのでは?と思ったことはないでしょうか?
Google アナリティクスの詳細データとTableauを用いるとそれができるようになります。
本ブログ記事ではどのような形でTableauがコンテンツアトリビューションを可視化するのか?について、まず、「初回訪問ユーザーの2回目の訪問を促したコンテンツは何か?」を知る。というお題で示したいと思います。

コンテンツアトリビューションの基礎(初回訪問者をリピートさせたコンテンツの可視化)

まずは、筆者が「Small Data Verification」(小型データによる検証)と名付けた、人間が目視で確認できる数行のデータで検証するという作業を行います。この作業を行わないと作成した計算フィールドが正しいかどうか確信が持てません。小さいデータで正しいことを検証した後、実際の大きなデータの可視化を行います。
以下の画像をご覧ください。左側に掲載されているのが元データ のExcel です。

  • A 列の cidが、ユーザーを識別する ID とします。
  • B 列のSessionCount。こちらが Google アナリティクス における「セッションの数」、つまり何回目の訪問だったかを表す数値とします。
  • C 列のpage。こちらがウェブサイトにおける「ページ」を表すとします。


例えばcid 123のユーザーに注目してみましょう。このユーザーは初回訪問時に、コンテンツ a、 b、 x を閲覧しました。そしてその後にセッションカウント2がありますので、このユーザーは再訪問したことが分かります。そこで、a、b、xはユーザーを再訪問させる力があった。と考えます。
一方ユーザー ID cid 125に注目して下さい。このユーザーは初回訪問で、ページb、g を閲覧していますが再訪問は発生していません。この場合、b、gはこのユーザーを再訪問させる力はなかった。と考えます。
ページeはユーザー123が閲覧していますが、初回訪問は受けていませんのでこの散布図にはでてきません。つまり、評価対象のページにはなっていません。
Google アナリティクスのタグのカスタマイズを行い、このような形のデータを入手できれば、ページごとに、初回訪問で閲覧したユーザーが再訪問したか、していないかを捕捉することができます。
次に、右側の散布図をご覧ください。X軸に「New Visitorから受けたページ別ユーザー数」が、Y軸に「再訪問ユーザー数」がプロットされています。
ページaは、ユーザー123による「New Visitor閲覧」を受け、その後に同じユーザー123が再訪問しているので、「New Visitorから受けたページ別ユーザー数」は1、「再訪問ユーザー数」も1となります。そこで(1,1)のところに位置しています。
次に、ページcを見てみましょう。ページcは、ユーザー123、129、130によってNew Visitor閲覧を受けていますが、ユーザー124しか再訪問していません。そこで(3,1)の場所にプロットされています。
うまくデータが指し示す場所に各ページをプロットできているのでこの散布図を構成している計算式はどうも正しそうです。
Tableau Publicからはtwbxファイルをダウンロードできますので、計算フィールド詳細についてはそちらをご参照ください。
Tableau Public : https://public.tableau.com/profile/kazkida#!/vizhome/_TableauPublic/NewVisitor?publish=yes

実際のデータによるコンテンツアトリビューション(初回訪問ユーザーを再訪問させたコンテンツ)

まず、以下がプリンシプルのサイトに訪問してくれるユーザーの「セッションの数」別のユーザー数ですが、圧倒的に1、つまり初回訪問が多く、2回目、3回目の訪問となると極端に減ってゆくということが分かります。このようなデータの散らばり型は分布はポワソン分布と呼ばれ、多くのサイトに共通してみられる特徴です。


プリンシプルのウェブサイト(本ウェブサイト)には、Small Data Verificationで利用したエクセルにあたるデータが取得できるよう、既にGoogle アナリティクスのカスタマイズを実施済ですので、TableauからGoogle アナリティクスに直接接続し、Small Data Verificationで正しいことが確認されている計算フィールドを作成します。
そしてSmall Data Verificationで行ったのと同様な散布図を作成してみました。


結果は予想通り、「New Visitorの閲覧を受けた数が多いほど、再訪問の数も多い」傾向にはあるのですが、右下に近い、つまり、あまり再訪問を起こさせないページや、左上に近い、つまり、再訪問を起こさせやすいページがあることも分かります。
次に、以下の計算式で「再訪問喚起率」を求めてみました。


再訪問喚起率のトップ10、ワースト10のページを比較すると以下のような傾向が分かります。

  1. 再訪問喚起率にはページ別に比較的大きな差がある(3.8%~40.4%)
  2. 直帰のセミナー(2月8日開催)のページが最も再訪問喚起率が高い(きっと、開催場所や時間を確認しに来てくれている。小まめにリマインドメールを出すとよいのかも)
  3. 比較的マニアック度合いが高いブログ記事が再訪問喚起率が高い傾向にあるのかも。
  4. 会社の特徴紹介(/feature/)やサービス紹介(/service/)が意外に高い再訪問喚起率であった。コーポレートサイトとして伝えたいことが伝えられていると考えてもよいのかも。
  5. いくつか、/column/配下のブログ記事がベストにもワーストにも顔を出している。ブログ記事は一般に直帰率が高く、しかも、直帰率が高くても問題ない性質があるため、直帰率では評価できないが、このように再訪問喚起率で評価してあげると「ユーザーに満足や信頼してもらった度合い」が可視化できる。

Tableauによるコンテンツアトリビューション、まとめ

如何でしたでしょうか?Google アナリティクスのカスタマイズデータとTableauでコンテンツアトリビューションの可視化ができることについてご理解頂けましたでしょうか?
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木田和廣

早稲田大学政治経済学部卒。取締役副社長。カスタマーサクセス室室長。チーフ・エバンジェリスト。

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