その分析、時間のムダ?SEOの効果的な問題発見に必要なグルーピングを、GSCデータと連携して徹底学習。中から大規模ECサイトに効果的なクエリ、ページ分析の型をお伝えします。

ダメな例

「『ブランド名 品名』のクリックが前月比で5%下がった! 一刻も早く対策を打たなければ!」
「XXXさん、早急な分析とレポートを! 明日の会議まで!」
今日も、このような会話が各所のデスクで交わされていることでしょう。
担当者であるあなたはこう思います。
「いやいや、『ブランド名(スペースなし)品名』で対前月120%なんだけどな。。商品の売上も増えてるし。また残業か。。」
実際、新商品の発売時に広報、ディスプレイ広告、メルマガを並行活用する企業では、
当月のコミュニケーションの違いによって、主要な検索クエリ「”ブランド名””品名”」のスペース有無による検索数の違いは如実に変化します。ユーザーの検索意図、トータルとしての検索数には大きな変化がないにもかかわらずです。
別のデスクではこのような会話が交わされます。
「YYYさん、うちの社名のアルファベットとカタカナ、CTRが先月と逆転でしてるんだけど、原因を調べてくれないかな?」
「あの、、それ、、要りますか。。。?」

あるべき姿

これらは極端な創作ですが、検索クエリの分析において「個別のクエリ」に固執すると、大局を見失ってしまうケースはしばしばあります。
いえ、例えば立ち上げたばかりの静的ページ中心のサイトやコンテンツマーケティングを目論むオウンドメディアであれば、個別のクエリにこだわって良質なコンテンツを作っていくこと自体は非常に重要です。しかしながらそのクエリ選定においても、Googleサーチコンソール(GSC)の検索パフォーマンスレポートの上位クエリを気まぐれにピックアップしていたのでは、ユーザーのニーズを見誤る可能性があります。
ましてや中〜大規模ECサイトでは、商品「カテゴリ単位」のクエリの動きを捉えることができないと、商品戦略、具体的には投資の優先順位づけレベルで重大な誤りを犯すリスクもあります。トップクエリのあるカテゴリばかりに目が行き、集めると相当なクリックをもたらす兵站の長いカテゴリの機会損失に目がいかない、というリスクです。
また、
個別クエリの動きから得られる気づきは非常に限定的で、解決策として「LPのこことここにキーワードを足す」などの策しか得られない。
商品そのもののアウェアネス(注目度)下落に気づくことができない。
こうした点も、個別クエリフォーカスの弊害と言えます。
弊社のご提案は、要素をグループ(クエリであれば、商品カテゴリ、地名掛け合わせ、インフォメーショナルかトランザクショナルか、など)に分け、合理的な投資の判断が可能なレベルまでまとめてパフォーマンスを可視化、分析することです。

ソリューションとしてのデータ成形とBI

弊社が掲げさせて頂いている「データを収益に変える」の主張にもつながりますが、
たくさん溜まったデータを眺めて満足するのでなく、積極的に成形・分解し、活用することが成果を上げる近道です。
それはSEOにおいても全く同様で、GSCで得られる検索アナリティクスデータをただ眺めるのでなく、CSVにおとしてみて積極的に加工することから始めてみてください。
弊社ではBIツール「Tableau」によりCSVやGAデータのビジュアライズや多様なディメンショニングによる可視化をご提案していますが、今回はツールより前の、SEOにおける分析の型となるグルーピング指針をご紹介いたします。

クエリデータのグループ化

GSCの検索パフォーマンス初期画面で表示されるのが、クエリデータです。
これらは期間を過去16ヶ月間まで伸長して、上位1,000クエリまでのパフォーマンスを管理画面上で確認し、CSVでダウンロードすることができます。

クエリのグルーピングは比較的イメージしやすいのではないかと思います。
「ブランド/非ブランド」でのグループ分け(スペルミス、なども含む)や、先ほど挙げたような

  • 「商品カテゴリ」=”該当商品名”を含む
  • 「地名掛け合わせ」=”地名”を含む(ex:47都道府県名を含む、東京・大阪、などの経済圏名を含む、など)
  • 「トランザクショナルクエリ/インフォメーショナルクエリ」=”購入”を含む / ”とは”を含む、など

という絞り込みを行うことで、個別クエリでなく、カテゴリベースでのパフォーマンスを追います。エクセルであれば、フィルタや関数を用いることで(XXを含む/含まない)をまとめることができます。
『グルーピングに利用できるエクセル関数』

  • =SUMIFS(合計対象範囲, 条件範囲1, 条件1, 条件範囲2, 条件2
    →XXを含むクエリ、を条件として行データを集計します。クリック数やインプレッション数を合計します。
  • =COUNTIF(範囲, 検索条件)
    →XXを含むクエリ、を条件として行数を集計します。CTRを計算する際に分子を算出します。

なおTableauだとこんな可視化もできます。

ページのグループ化

クエリのグルーピングと合わせて、弊社がご提案したいのがページデータのグルーピングです。
弊社が携わらせていただくSEO案件は、テクニカル要素を重視し、結果として「テンプレート単位のパフォーマンス」を向上させるものが多いです。
テンプレート単位であるがゆえに、このアプローチは、サイトの全体のうちどこに手をつけるべきかをより俯瞰的に示してくれる、問題発見と施策の順位づけに役立ちます。
ページのデータは、GSC検索パフォーマンスの「ページ」を選択することで表示、抽出することができます。

ページのグルーピングは如何にすべきでしょうか? 実は、クエリよりも見過ごされやすいですが、ページのグルーピングはディレクトリ名で絞り込めるためより簡単で分析に示唆のあるものです。
サイトのケースにもよりますが、弊社では以下のようにご提案することが多いです。
<ECサイトのケース>
トップページ
カテゴリ一覧ページ = /category/ を含む、など。
カテゴリ一覧絞り込みページ = /category/?=XX を含む、など。
・販促ページ = /kikaku/ を含む、など。
・商品詳細ページ = /item/ を含む、など。
(ブログなど)
ページの場合、動的生成であれば尚更、一つのページに問題があるということでなくテンプレートに問題が潜んでいることが大半です。
このようにページ分類することで、どのテンプレートがクリック機会損失を起こしているかを気づき、改修効果を想定し、テクニカル面の具体的な問題発見につなげることができます。
テクニカル面の問題発見〜構造改修を経て、以下のようなパフォーマスの改善を見た例が以下です。(カラーバリエーションページ(オレンジ色)を製品詳細ページ(青)に正規化したことで、製品詳細ページ全体のクリック数が飛躍的に伸びました。)
こうした可視化は、地震での問題発見だけでなく、あなたが熱意ある担当者でありながら決裁権を持たない場合、上司を説得するのにも大いに役立ちます。

まとめ

「分析」とは、ひたすら分解をすることでなく、意味あるレベルまで要素をまとめて加工することが重要です。
分析ツールに事欠かない現在だからこそ、データの加工やグループづけにこそ、担当者の腕の見せどころがあります。
ぜひ成果につながる分析で、問題発見と改善を進めてください。

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菊池浩之

一橋大学卒。SEOコンサルタント。解析とSEOの知見を掛け合わせたアプローチによる実績多数。

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