GA4導入が完了し、活用のフェーズへ移っている企業様も多いと思います。データを活用する際に「数値は見られるがどのようにサイト改善に活かせばよいのかわからない…」とお困りではないでしょうか。

そこで今回は、A/Bテストを繰り返しながらGA4も活用して、広告LP・広告の成果改善に繋げた事例をご紹介します。

クライアント概要

ご紹介するクライアント様の概要は以下の通りです。

  • 事業内容:BPOサービスの提供(BtoB)
  • 目標:問い合わせ数の最大化
  • 広告配信媒体:Google、Meta

ご支援の開始当初に、企業サイト(以下、コーポレートサイト)とは別に広告配信用のLP(以下、広告LP)を作成し、広告(指名系以外)の遷移先として利用しています。広告LPは自然検索では表示させていないので、広告以外での流入はほぼありません。

今回は、広告LPに対象を絞って、広告成果を上げるためにどのようにサイト改善したのかについてお話していきます。

CPA45万円超え!改善必至の状況からスタート

私が広告運用を引き継いだ初月のCPAはまさかの45万円超えでした。

当然改善を図る必要があるのですが、広告LPは1枚のLPなのでサイト回遊などの文脈は違いますし、Clarityでヒートマップを見てもLPに大きな問題があるように思えず、どこから改善すべきか?にまず悩みました(広告KWの精査などを行っていることは大前提です)。

広告LPは指名系以外の遷移先として利用することは当初から決めていたので、クライアント様のことをあまり知らないユーザーが訪問するという仮説のもと作成しています。

実際、GA4で訪問回数を見ると1回目が95%近くを占めていました。

▼広告LPのみにフィルタをかけたアクティブユーザー数

A/Bテストの繰り返し

まずはA/BテストツールVWOを利用してA/Bテストを行いながら、広告LPの最適化を図りました。VWOも他のA/Bテストツール同様、ビジュアルエディタで感覚的にテストページを作成できます。(A/Bテストを実施する前には、データから得られる情報、仮説、検証すべき指標を明確にしましょう。)

テキストがユーザーに与える影響は小さかった

今回はまずフォーム到達数を増やすことから始めました。

1回目と2回目はオリジナルとテストの差がほとんどなかったので詳細は割愛しますが、

  • 1回目:訪問ユーザーの95%が初回訪問であるというデータから「問い合わせ」ではなく「相談する」にCTAテキストを変更
  • 2回目:広告で配信しているKWに合わせてファーストビューのテキストを変更

というテストを行いました。

「差がなかった」ということは、言い換えれば「CTA・ファーストビューのテキストがユーザーに与える影響は小さい」「配信KWと現状の広告LPのずれはあまりない」ということでもあります。そのため、配信KWは調整せず、次のテストを行うことにしました。

3回目のテストで改善を確認

Clarityのデータから、ヘッダー内でもっともクリックされているコンテンツが「事例」ということが分かっていました。一方で、改めてページを見ていると、事例コンテンツの近くにCTAがないことに気付きました(追従バナーつけていないのか、という指摘はご容赦ください…)。

広告LP作成時、最重要コンテンツとして挙げていた事例が見られていることはポジティブでしたが、そこからアクションを起こしてもらえなければ意味がありません。そこで、3回目のテストで固定ヘッダーへのCTAボタン追加を行いました。

※VWO有料版では、HTMLやCSSの知識がなくてもビジュアルエディタを利用してボタン追加が可能です。無料版をご利用の場合は、Code Editorを利用してボタンを追加する必要があります。

A/Bテストの結果、ヘッダーにCTAを追加した方が良いということがわかりました!(下図)

資料DLクリックは大差がなかったのですが、こちらの理由は後述します。この結果が出た後しばらくはテストを100%で配信し、最終的にはLP改修を行いました。

GA4を利用した広告LP分析

A/Bテストと並行して、GA4を利用して広告LPを分析していました。

”問い合わせ完了率” を利用した改善

フォームからの問い合わせ完了率を調べると、以下の状況が明らかになりました。

  • コーポレートサイトが12.6%に対し、広告LPは7.3%と低い状況(※フォームは同じ。広告LPからコーポレートサイトの問い合わせフォームに遷移。)
  • 確認ページ~完了ページの完了率が低い

そこで、広告LPのみフォームのUIを一新し、確認ページもなくすことにしました。その結果、7.3%だった問い合わせ完了率が14.5%まで上昇しました!

CTAボタンの追加とフォームの改修(と広告側の細かいチューニング)により、CPAはおおよそ15万円まで下がりました。

“広告LP内でのユーザー行動” を利用した改善

次に、最大の問題であった「広告LPでユーザーがどのような行動を起こしているのか?」の可視化に向け、GA4イベントの実装を始めました。広告LPは1ページでできているので、この時はまだ広告で流入させた後のページ内行動が掴めていなかったのです。

コーポレートサイトでのユーザー行動やClarityの結果を基に、問い合わせに至るユーザーに広告LP内で取ってほしい行動、重要と思われる行動をピックアップし、イベント設計を行いました。以下がその例です。

上記のイベントをGA4に実装し分析を行ってみたところ、たしかにヘッダーの「導入事例」はよくクリックされていましたが、しっかりとコンテンツが読まれていたわけではないということが分かりました。

▼GA4から得られたユーザー行動データ

問い合わせ完了ユーザーが20人、ヘッダーの「事例」をクリックしたユーザーは12人いたのですが、事例を10秒以上見たユーザーは8人、さらに事例コンテンツで何かしらのアクション(クリック)を起こしたユーザーは5人しかいませんでした。

問い合わせ完了ユーザーであっても、事例が最重要コンテンツではない可能性があると分かったため、このデータを基に配信KWやバナー、広告文などの見直しを行いました。

また、A/Bテストにて資料DLの結果は大きく変わらなかったとお伝えしましたが、それに関してもこのデータから理由が浮かび上がってきます。資料DLユーザーはトータル12人いましたが、ヘッダー利用含め、CTAをクリックする前にイベントを発生させたユーザーが2人しかいないことが分かったのです。

さらに、クリックされたCTAボタンは多くがファーストビュー内に設置したボタンでした。つまり、資料DLをするユーザーはファーストビューしか見ていないユーザーが多いということです。

問い合わせをするユーザーと資料DLをするユーザーでは、サイトに求めるものが違うということは元々想定していたことではあるものの、データとしてはっきりと見えたことで広告のKW選定にもいかしています。

以上のように広告LPのA/Bテスト、GA4でのデータ可視化を繰り返し、それを広告配信に活かすことで、最終的にCPAは48万円→8万円まで改善できました。

まとめ

本記事では、A/BテストとGA4を使って広告CPAの改善を図った事例についてご紹介しました。

あっと驚くようなことは行っていないので残念に思われた方もいらっしゃるかもしれません。ですが仮説をたててテスト・検証を行い、仮説をデータ(数値)として把握することは、課題やターゲットの見直しに大いに役立ち、地道ではありますがしっかり改善に繋げていくことができます。

広告にGA4を活かしきれていない、サイトに課題がありそうだけれど改善に向けたアクションができていないといった際に、今回の事例が参考になれば嬉しいです。

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片岡 みさ

Web広告代理店での広告運用経験を経て、広告コンサルタントとしてプリンシプルに参画。現在は解析コンサルタントとして、大手クライアントへのGA4活用支援、分析基盤構築、サイト分析等を行う。元広告コンサルタントとしての経験を基にした、マーケティング戦略支援が強み。

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