「共通のIDをキーにして、GA4とCRMデータを統合したい」といったニーズは多くあるのではないでしょうか。

一見シンプルな取り組みに見えますが、実際に実現するためにはさまざまな検討事項が発生し、実現までに予想以上に時間がかかる場合がございます。

この記事では、わたしがこれまでBtoB・学習塾・不動産など、購買がオフラインで発生するビジネスで経験した、データ統合およびフルファネルでのマーケテイング最適化でとくに時間がかかったことを3つご紹介します。

データ統合プロジェクトの全体像

本記事にてご紹介する事例のデータ統合支援プロジェクトでは、BigQueryをDWHとし以下の全体像の実現を目指しています。

今回は詳細は割愛いたしますが、GA4とCRMツールにお問合せIDとユーザーIDの両方を持たせ、BogQuery上で統合したテーブルを作成することで、Webでの行動データ〜商談などのオフラインデータの統合を実現させます。

商談だけでなく、オフラインのイベント(セミナー参加有無など)などのデータも精緻にCRMデータに入っていれば、そのイベント参加有無での受注率寄与などもオンラインデータとかけ合わせ、成約に至るまでのカスタマージャーニーをさらに精緻化できます。

以下より、上記全体像を実現するプロジェクトにおいてとくに時間のかかった事象を紹介いたします。

キーとなるIDの連携

ID連携とは

この統合を実現するためには、Google Analytics 4 (GA4) とCRMツール間で「共通のID」を用いることが鍵となります。キーとなるIDは「イベントスコープのID」と「ユーザースコープのID」の2種類を使用する必要があります。

■イベントスコープのID

イベントスコープのIDは、資料請求やお問い合わせ完了時に吐き出されるユニークなIDです。

キーバリューペア(イベント+パラメータ)のデータ形式となっており、「お問い合わせ完了」イベントのパラメータに、「お問い合わせID」が付与される形になります。


※イメージ

■ユーザースコープのID

イベントスコープのIDに加えて、GA4のクライアントIDやユーザーのメールアドレスのような「ユーザースコープのID」が必要です。

ユーザースコープのIDはユーザーが変わらない限り変動しないため、取得することでユーザーが起こしたイベントを繋げて分析することができるようになります。

これらの情報を取得する実装を行い、データウェアハウス(DWH)で統合することで、オンライン〜オフラインデータを統合した分析が実現できます。これらの実現のために、さまざまなハードルがありました。

ID連携で時間がかかったこと

プライバシーの懸念

ユーザーのメールアドレスなどの個人情報をユーザースコープのIDとして利用する際は、プライバシーポリシーを遵守し、適切な処理(例:ハッシュ化)が必要です。また、ハッシュ化をしたとしても会社の方針で使用できないケースもございます。

その場合は法務と交渉し、プライバシーポリシーを改定したり、サイト上でポリシー改定の告知をしたりと、かなりの労力を要します。

今回のプロジェクトでは、GA4のクライアントIDを用いました。クライアントIDについておよび取得方法については弊社他でも紹介しております。ご興味がありましたらご確認ください。

技術的なハードル

IDの連携においては、次のような技術的な課題も発生します。

■お問合せIDの取得

必ずしもすべてのフォームがデフォルトで問合せIDを吐き出す仕様ではありません。そのため、状況に応じて、フォームの改修が必要になります。

MAを使用してフォーム生成している場合は取得できているケースもあるため、まずはユニークなキーとして利用できそうなIDが吐き出されているかを確認する必要があります。

■ユーザースコープIDの取得

データレイヤーの実装など、サイト側のHTMLを改修するような、ややテクニカルな実装を伴う可能性があります。その際には、関係各所との連携や計画的なスケジュール管理が求められます。

一見簡単そうに見えるIDの連携においても、このように多くの懸念事項があります。要件定義の段階で、どのような実装にしていくのか、自社の状況をしっかりと確認しながら進めてください。

SalesforceとBigQueryの連携

2つ目はSalesforceとBigQueryの連携です。

当時Salesforceのデータを直接BigQueryに連携する機能はなかったため、ETLツールやデータプレパレーションツールを介しての連携や、Google Apps Script等によるプログラム開発を検討する必要がありました。

この際、データ量の規模やセキュリティ要件に応じて適切なツールを選定する必要があります。本プロジェクトにおいても、セキュリティ面や想定のデータ量など、さまざまな要件を考慮しながらどの連携方法が良いのか、議論に時間を要しました。

さらに、そんな中でSalesforceのデータを直接転送する仕組みがBigQueryに実装されました。BigQuery⇔SalesForce間で連携できるのであれば一番スムーズなので、現在この方法で連携ができないか、検証をしております。

データ連携方法は日々進化しており、今回のようにプロジェクト中に新機能が追加される可能性があることも考慮しておく必要があります。

ツールの導入までに想定以上に時間がかかる

そもそも各種ツールの導入ができないとプロジェクトは動きません。とくにエンタープライズ企業様においてはツール導入までに時間がかかってしまう可能性がございます。

主な理由としてはツール導入可否のチェックや審査に時間がかかるためです。とくに顧客情報を含むCRM/MAデータとGA4などのオンラインデータを統合する際には、データ保護規則やプライバシーに関する法律を厳守しなければなりません。

実際のプロジェクトでも、ツールをご提案してからクライアント様の方で導入可否を確認する等で1か月以上を要するケースもございました。この辺りのタイムラインも踏まえて、全体のプロジェクトスケジュールを設計する必要があります。

また、セキュリティ関連は常に気をつけることが大切です。ツールを導入して終わりではなく、データアクセスの管理、暗号化、そして適切なセキュリティポリシーの実施、関連するステークホルダー全員がセキュリティ基準を理解し、遵守することが重要です。

最後に

この記事では実際のデータ統合プロジェクトで直面した、難航した点を3つご紹介しました。

今回ご紹介した点以外でも、SQLでのデータ抽出や個別にカスタマイズされたCRMツールのテーブル構成を読み解くなど、複雑で難易度の高い作業が多々ございます。お客様のご状況に合わせ、最適な進め方を検討すべきだと実感しています。

事例としてご紹介したプロジェクトは、これから、統合したデータの具体的な分析や、KPI定点観測ダッシュボード構築に移っていきます。気づいた点や有益と感じた点を今後に活かしていけるよう、振り返っていきたいと思います。

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鈴木雄介

広告代理店にてSEO・広告・LP/サイト制作・PRなど、デジタルマーケティング全般のディレクション経験を経てプリンシプル入社。

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